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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生68巻6号

2004年06月発行

文献概要

連載 Health for All―尾身茂WHOをゆく・3

ポリオ根絶に対する取り組み(1)

著者: 尾身茂1

所属機関: 1WHO西太平洋地域事務局

ページ範囲:P.412 - P.413

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前回はWHOへの赴任が決まった話をしたが,今回はその後の話である.

 WHO西太平洋地域事務局(以下WPRO)行きが決まった直後,厚生省(当時)の医系人事を担当していた谷修一厚生科学課長から呼ばれて,次のことを聞かれた.「WPROには2つのポストがある.1つは課長級でWHO西太平洋地域事務局長(RD)の秘書的役割をするポスト,もう1つは課長補佐級で,ポリオ根絶を担当するポスト.選択しなさい」と.当然その場では判断が難しいので,「少し考えさせて下さい」と言うと,「今すぐに」との指示.課長級のほうは確かに偉そうで魅力はあったが,ポリオ根絶のほうがやりがいがありそうだと勝手に思い込み,「ポリオをやらせて下さい!」と答え,その場で私のポリオ担当が決定されたのである.

 1990年9月,フィリピン・マニラにあるWPROに着任後まもなく,同僚2人とともに,当時のRD(地域事務局長),Dr.Hanの執務室に呼ばれた.雲の上の人に初めて呼ばれたことで,ガチガチに緊張して執務室に向かうと,Dr.Hanから「西太平洋地域におけるポリオ根絶を2000年までに達成するため,すべてに優先して取り組みなさい.尾身は1991年4月までに専門家会議を東京で開催しなさい」との厳命を受けた[後から判明したのだが,Dr.HanはRDに就任後,1期目(1期は5年)の途中であり,ポリオ根絶に向けた取り組みは2期目の再選に向け,最も優先順位の高い課題の一つだったのである].

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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