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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生69巻1号

2005年01月発行

文献概要

特集 子ども虐待予防

虐待予防=育児エンパワメント―医療機関からの発信

著者: 櫃本真聿1

所属機関: 1愛媛大学医学部附属病院医療福祉支援センター

ページ範囲:P.34 - P.38

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児童虐待(以下,虐待)が深刻な問題となり,予防対策が取り組まれてからかなりの年数が経過したが,一向に減る傾向が見られない.住民主役の視点が強調されているにもかかわらず,「対策」という言葉の主語を考えたとき,やはり行政や専門家の住民への画一的・指導的かかわりが連想され,虐待問題への根本的な解決には到底つながらないように思える.わが国の昨今の多岐にわたる問題は,経済不況よりむしろ「関係性の崩壊」が主因だとも言われており,そうなるともはや行政施策ばかりに頼っていても改善は期待できない.

 希薄になった「関係性」を再構築するためには,住民自身が地域資源を自らの意思で適切に活用していける環境の整備へ,住民と行政・各関係機関など地域全体が,目的を共有して取り掛かる必要があり,子育て支援においても,このような活動を通じた育児エンパワメント(内なる力の賦活化)の観点が重要であることを強調したい.

参考文献

1) WHO Ottawa: Charter for Health promotion, 1986
2) 平山宗宏, 藤内修二, 櫃本真聿・他:健やか親子21検討会報告書―母子保健の2010年までの国民運動計画 健やか親子21検討会, 2001
3) 服部祥子, 佐藤拓代, 櫃本真聿・他;厚生労働省研究班 「児童虐待発生要因の解明と児童虐待への地域における予防的支援方法の開発に関する研究」 報告書 2002, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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