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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生69巻1号

2005年01月発行

文献概要

連載 グローバリゼーションと健康・1【新連載】

グローバリゼーションと人々の健康

著者: 若井晋1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学

ページ範囲:P.64 - P.68

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グローバリゼーション(Globalization)という用語の出現は,ほぼ10年前にさかのぼる.用語の意味は「球」という意味の「Globe」(ラテン語のglobus)に由来し,英語で「地球」「地球儀」を意味するようになった.したがって,直訳すれば「地球化すること」になるが,最近では日本語ではそのまま,「グローバリゼーション」(グローバル化)という言葉が用いられている.

 マルクス主義の歴史家エリック・ホブズボームによると,1980年代の後半から90年代前半にかけて,世界史の新しい時代が始まったという.それはソビエト連邦の崩壊,そして情報技術(IT)の飛躍的な発展と呼応している.世界の片隅で起こった出来事が,瞬時に世界の隅々にまで波及することとなった.しかし,一方で「持てる者」と「持てない人々」の格差は広がっている.この富の不均衡は,政治経済や社会の構造そのものをも,劇的に変化させた.

参考文献

1) 池住義憲, 若井晋(監訳):いのち・開発・NGO―子どもの健康が世界を変える. 新評論, 1998年10月(デイヴィド・ワーナー, デイヴィド・サンダース著『Questioning the Solution. The Politics of Primary Health Care and Child Survival with an in-depth critique of Oral Rehydration Therapy』)
2) 若井晋, 三好亜矢子, 生江明, 池住義憲(編著):学び・未来・NGO―NGOに携わるとは何か. 新評論, 2001
3) 三好亜矢子, 若井晋, 池住義憲, 狐崎知巳(編著):平和・人権・NGO. 新評論, 2004
4) Wakai S: Life after sanctions: The fate of Iraq. Lancet356: 685, 2000
5) Wakai S: Price of life. Brain Dev 25: 301-303, 2003
6) ジェレミー・フォックス(著), 坂田薫子(訳):グローバリゼーションとノムチョムスキー. 岩波書店, 2004
7) Chomsky N: What Uncle Sam really wants. Odonian Press, 1996
8) Howard Z: Terrorism and War. Seven Stories Press, 2002
9) 毛利良一:グローバリゼーションとIMF, 世界銀行. 大月書店, 2000
10) Nakahara S, Tsutsumi A, Ichicawa M, Wakai S: Research does not indicate future trends in global health. Lancet 362: 493, 2003
11) 寺島実朗:「正義の経済学」の復権―高度情報資本主義時代への視座. 中央公論, pp52-69, 2000年3月号

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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