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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生69巻1号

2005年01月発行

文献概要

連載 日本の高齢者―介護予防に向けた社会疫学的大規模調査・1【新連載】

調査目的と調査対象者・地域の特徴

著者: 近藤克則1 平井寛2 吉井清子1 末盛慶1 松田亮三3 馬場康彦4 斎藤嘉孝5 「健康の不平等」研究会

所属機関: 1日本福祉大学社会福祉学部 2日本福祉大学COE推進室 3立命館大学産業社会学部 4明星大学人文学部 5明治学院大学社会学部

ページ範囲:P.69 - P.72

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超高齢社会が目前に迫り,要介護状態にならないための「介護予防」が注目を浴びている1,2).要介護状態は,脳卒中など疾患により生じるものばかりではない2).うつや閉じこもり状態などの心理社会的な因子が絡み合い,生活機能が低下した結果生じるものも多い.これらの因子の分布状況や因子間の関連を明らかにすることが,科学的な介護予防政策立案のためには,まず必要である.

 また,健康に影響する心理的社会的な因子の分布や因子間の関連などを,疫学的手法で明らかにする分野が「社会疫学」と呼ばれ,新しい疫学の一分野として注目を集めている3).昨年1年間にわたった本誌の連載「社会疫学への誘い」(近藤克則著)では,現在までに提示されている社会疫学的な理論・仮説や,それらを裏付けるデータについて紹介した.しかし,それらは主に海外でのものであった.

 わが国では,「平等な国,日本」という幻想が強かったせいか,社会経済的な因子による「健康の不平等」が,わが国においても見られるのか,見られるとしたらどの程度のものなのかなど,記述疫学的な報告の蓄積も不十分である.これらを補うのが,本連載の目的である.

参考文献

1) 高齢者介護研究会:2015年の高齢者介護. 厚生労働省ホームページ〈http://www.mhlw.go.jp/topics/kaibo/kentou/15kourei/3.html〉, 2003
2) 高齢者リハビリテーション研究会:高齢者リハビリテーションのあるべき方向. 厚生労働省ホームページ〈http.//www.mhlw.go.jp/shing/2004/03/s0331-3.html〉, 2004
3) Berkman LF, Kawachi I: Social epidemiology. New York, Oxford University Press, 2000
4) 近藤克則:介護保険策の臨床的評価研究の基本構想づくり. 主任研究者/野口定久:厚生科学研究費補助金(政策科学推進研究事業)1999年度報告書, 基礎自治体(広域型・単独型)における介護保険制度の効率的運用と政策選択の評価基準に関する比較研究. pp92-94, 2000
5) 近藤克則:適正化事業における取り組みの概要(1)政策評価の枠組みと方法. 印刷中. 日本福祉大学地域ケア研究推進センター〈http://www.nihonfukushi-u.jp/rpcc/hyouka/index.html〉, 2004
6) 近藤克則:New Public Healthのパラダイム―社会疫学への誘い・9 社会のありようと健康(1)―ソーシャル・キャピタル. 公衆衛生68: 721-727, 2004
7) 近藤克則:New Public Healthのパラダイム―社会疫学への誘い・6 主観的・心理的因子・認知―社会と身体的健康をつなぐもの(2). 公衆衛生 68: 477-482, 2004
8) Idler EL, Benyamini Y: Self-rated health and mortality; A review of twenty-seven community studies. J Health Soc Behav 38: 21-37,1997
9) 近藤克則:New Public Healthのパラダイム―社会疫学への誘い・5 抑うつ―社会と身体的健康をつなぐもの(1). 公衆衛生 68: 387-391, 2004
10) 厚生労働省:平成14年版厚生労働白書. 現役世代の生活像―経済的側面を中心として,p90, ぎょうせい, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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