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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生69巻11号

2005年11月発行

文献概要

特集 感染症情報

アウトブレイク対応における感染症情報の確認(verification)とは

著者: 砂川富正12

所属機関: 1国立感染症研究所感染症情報センター 2WHO感染症サーベイランス・対応部

ページ範囲:P.870 - P.874

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地域で感染症・食中毒が集団発生したり,または孤発であってもそれが重症感染症であったりする場合(これらは共に「アウトブレイク」と呼ばれる),自治体や国の担当者あるいは専門家は,これらの初期情報をどのように検知しているだろうか.地域単位になるほど,当事者からの電話等による連絡が直接届き,逆に広範囲をカバーするようになるほど,同様な症状を示す患者が地域や医療機関で集団発生をしたことを報道する情報(行政による記者発表を含む)が第一報かもしれない.アウトブレイク対応の要素の1つは,迅速な情報の探知であり,この時点での情報対応の内容が,その後の被害を小規模にとどめ得るか,あるいは不要な対応を見極めるかどうかの1つのポイントとなる.

 特に近年,SARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザなどを始めとする新興感染症が,外国のみならず国内でも全く同様に発生し得ることが認識されるに伴い,より迅速かつ専門的な情報の取り扱いが必要になってきていると言えよう.

 本稿では,特にアウトブレイク情報の検出について,国内においてどのような対応が考えられるかを前段に,世界的にどのような仕組みでの努力がなされているかを後段に述べてみたい.特に後段は,WHOの活動を中心に概観する.いずれにおいても重視される点として,「症候群を含むうわさ情報などについてもこれを収集」し,「積極的に確認する(=verification)」という作業である.

 感染症に国境はなく,また国際協調が欠かせない.WHOのアウトブレイク情報の取り扱いの仕組みの理解が,特に国内でのよりよいアウトブレイク情報の収集・確認・対応のあり方への参考となれば幸いである.

参考文献

1) 鈴木里和ら:2002年FIFAワールドカップ開催に伴う感染症・症候群別サーベイランス. IASR 24(2):37-38, 2003
2) 沖縄県福祉保健部健康増進課ホームページ

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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