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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生69巻11号

2005年11月発行

文献概要

特集 感染症情報

保健所における麻疹ワクチン接種率向上に向けた取り組み

著者: 安井良則1

所属機関: 1国立感染症研究所感染症情報センター

ページ範囲:P.889 - P.894

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麻疹,風疹をはじめとするワクチン予防可能疾患に対する最も効果的な対策は,ワクチンを接種することである1).予防接種法によって定められた定期予防接種は,市町村が住民に対して実施することとされている.筆者は,平成11年4月から平成16年11月までの間,堺市の保健所に勤務していたが,堺市は保健所政令市であり,昭和23年より市が保健所を設置しているため,予防接種についても保健所が中心となって業務を実施してきた.

 平成11年12月から平成12年11月にかけて,大阪では麻疹が流行した.この流行は堺市を発端にしたものであるといわれており,翌平成13年より,前年の大阪の麻疹流行状況の調査に,現在ジュネーブにあるWHOに出向している砂川富正医師と共同で着手するとともに,堺市の1歳6か月児健診,3歳児健診を利用して,麻疹ワクチン接種の適応年齢児の保護者に対する麻疹および麻疹ワクチンに対する意識調査であるKAP study2)※注を行った.その結果をもとにして,その後様々な調査や対策を行っていくこととなった.

 本稿ではこのKAP studyの結果を紹介し,その調査後に行った対策について言及していく.

参考文献

1) 高山直秀, 奥野良信, 砂川富正・他:麻疹ワクチン接種指針. 平成14年度厚生科学研究新興・再興感染症研究事業 成人麻疹の実態把握と今後の麻疹対策の方向性に関する研究, 2003
2) Marko P, et al: Second dose of measles, mumps, and rubella vaccine: Questionnaire survey of health professionals. BMJ 322: 82-85, 2001
3) 奥野良信・他:平成13年度大阪感染症流行予測調査会感染症流行予測調査結果報告書37: 54-76, 2002
4) 安井良則・他:大阪における麻疹および麻疹予防接種調査結果と麻疹対策. 小児感染症免疫15: 95-102, 2003
5) 濱比嘉由美子・他:具志川市における麻疹対策について―麻疹“0”定期予防接種率95%を目指して. 沖縄の小児保健30: 57-63, 2003
6) 安井良則:保健所の立場での麻疹対策. チャイルドヘルス10: 757-760, 2004
7) 安井良則・他:大阪における麻疹及び麻疹ワクチン調査と堺市の麻疹対策. pp1-15, 堺市保健福祉局保健衛生部, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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