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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生69巻5号

2005年05月発行

文献概要

特別寄稿

血液透析患者の医療情報の授受に関する患者と医師の認知

著者: 浅川達人1 西三郎23

所属機関: 1放送大学教養学部 2元国立公衆衛生院 3現国立保健医療科学院

ページ範囲:P.394 - P.397

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問題の所在

 患者への説明,すなわち“Informed Consent”の重要性が唱えられて久しい.特に近年,患者は自己決定権に基づいて自らの権利として説明を要求するようになった.読売新聞の「医療に関する全国世論調査(1996年)」の結果を受け大平は,患者への説明は「医師が仮にそれを行ったつもりでいても,患者がそれを受けたと感じていなければ回答は[否]となり,その反省が必要となる1)」と医師の自戒を促している.

 医療情報の授受は,残念ながら情報提供者の努力だけで十全に行えるものではない.大平も指摘しているように,受領者側が提供を受けたと感じること,すなわち受領者が能動的に情報を受け取ることが必要不可欠である.したがって,医療情報の授受の実態を把握するためには,提供側と受領側の両者を対象として調査を行うことが必要となる.

 血液透析患者とその担当医師の両者に対して,全く同一の質問項目を用いて医療情報の授受について尋ねた調査がある.「全国腎不全患者(血液透析患者に限定)の医療と生活等についての実態調査」がそれである.この調査から得られたデータを用いて,血液透析患者の生活実態,就労実態などについて分析した結果が,既に報告書としてまとめられている2,3)

 本稿では,この調査から得られたデータに基づいて,医療情報の授受の実態を明らかにした上で,そこに潜む課題を指摘する.

参考文献

1) 大平整爾:透析医療各治療段階におけるインフォームド・コンセント. 透析会誌30(12): 1347-1362, 1997
2) 全国腎臓病協議会・日本透析医会:2001年度血液透析患者実態調査報告書. 全国腎臓病協議会, 2002
3) 統計研究会・透析医療研究会:血液透析患者の社会参加推進に関する研究. 統計研究会, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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