文献詳細
特別寄稿
文献概要
昨年10月15日,最高裁第二小法廷は,水俣病の発生について国,熊本県の責任を認めて賠償を命じ,また国の現行の「認定基準」を緩め,ほぼ患者側の主張に沿って幅広く水俣病患者と認定した.
私は,新潟水俣病の発見者であり,長く水俣病の医学対策の指導者であった故 椿忠雄教授(新潟大学脳研神経内科)の講師,助教授として,昭和40年5月12日の発見以来,同教授とともに診療,調査,研究,認定,裁判の証言を行った.そして永かったこの不幸な事件が,患者の勝利として最終的に解決したことに深い感慨を覚える.
棄却を不服とする第二次裁判の国側証人であったものとして,もっとも苦心したのは医学を正しく伝えることであった.本稿の目的も,今回の最高裁判決の意味を医学者の立場から考察し,水俣病医学から見た問題点を後に示すことである.
私は,新潟水俣病の発見者であり,長く水俣病の医学対策の指導者であった故 椿忠雄教授(新潟大学脳研神経内科)の講師,助教授として,昭和40年5月12日の発見以来,同教授とともに診療,調査,研究,認定,裁判の証言を行った.そして永かったこの不幸な事件が,患者の勝利として最終的に解決したことに深い感慨を覚える.
棄却を不服とする第二次裁判の国側証人であったものとして,もっとも苦心したのは医学を正しく伝えることであった.本稿の目的も,今回の最高裁判決の意味を医学者の立場から考察し,水俣病医学から見た問題点を後に示すことである.
参考文献
1) 環境庁環境保健部長通知:後天性水俣病の判断条件について(環保業262). 昭和52年7月1日
2) 近藤喜代太郎:水俣病の現状. 公衆衛生58: 612-616, 1994
3) 近藤喜代太郎:阿賀野川流域における水俣病の発生動態;曝露の実態と患者の認定. 日衛生誌51: 599-611, 1996
掲載誌情報