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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生69巻6号

2005年06月発行

文献概要

報告

夫と死別した妻の介護に対する満足感と後悔

著者: 大須賀惠子1 大澤功1 加藤弥和2 水野多喜子3 菅沼徳子3 相澤教子3 太田靖子3 岩村さより3 大橋由美子3 渡邊美穂3 門田ふさ子3 石井さおり4 佐藤祐造1

所属機関: 1愛知学院大学心身科学部健康科学科 2みなと医療生活協同組合協立総合病院 3加茂訪問看護ステーション 4幸田町保健センター

ページ範囲:P.514 - P.519

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高齢化が進みつつあるわが国では,65歳以上の者がいる世帯は三世代世帯が減少し,単独世帯や夫婦のみの世帯が急増している1).こうした中で,長年生活を共にしてきた伴侶の死に伴う,遺族(配偶者)の孤独感,無気力,うつ状態等は,立ち直れないほどの打撃を遺族に与えることになる.Parkes C.M.によると,配偶者の死は特に衝撃が大きく,人生における最もストレスの高い出来事の1つであり,その影響は心身・社会生活等,様々な側面に及ぶと報告されている2).またHampeは,配偶者の死別後の反応として悲嘆・抑うつ反応以外に,思考・行動力の低下,不安,故人への愛着反応等,多面的反応が示され,身体的にも異常が見られると述べている3)

 これらのことから,欧米諸国においては,遺族へのグリーフケア(愛する人を失った遺族の死別による悲しみへのケア)の必要性が認識され,実践されてきた4).しかしながらわが国においては,グリーフケアに対する認識は欧米諸国に比べて低く,遺族にはケアされることへのこだわりがあり,よほど困った状態にならない限りケアを求めない傾向にある5)

 そこで本研究の目的は,夫と死別した妻を対象として,生前の夫への介護に対する妻にとっての満足感と後悔等を量的・質的に分析することによって,今後のグリーフケアへの手がかりを得ることとした.

参考文献

1) 厚生統計協会(編):国民衛生の動向・厚生の指標. 臨時増刊:49(9): 37-38, 2002
2) Parkes CM, Weiss RS(訳), 池辺朋子:死別からの回復. pp19-21, 図書出版, 1987
3) Sandra Oliver Hampe(訳), 中西睦子・浅岡明子:病院における終末期患者および死亡患者の配偶者のニード. 看護研究10(5): 14-25, 1977
4) 田中信子:遺された家族への精神的フォローアップ. 臨床看護25(10): 1506, 1999
5) 河合千恵子:配偶者と死別した中高年者の悲嘆とそのケア. 生活教育46(2): 16, 2002
6) 川喜田二郎:発想法創造性開発のために. pp4-196, 中央公論社, 1967
7) 川喜田二郎:KJ法混沌をして語らしめる, pp3-579, 中央公論社, 1986
8) 内閣府国民生活局(編):平成13年度国民生活選考度調査. pp47-49, 2002
9) 厚生省大臣官房統計情報(編):平成7年度人口動態社会経済面調査報告. pp22-23, 1997
10) 近藤克則:在宅死の意味を問う. 文化連情報310(1): 38-46, 日本文化厚生農業協同組合連合会, 2004
11) 川越博美:家で死ねるまちづくり―訪問看護ステーションを核とした住民参加型在宅ターミナルケアシステムの構築. Ⅲ1-12, 日本看護協会, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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