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連載 Health for All―尾身茂WHOをゆく・16
世界保健総会(WHA)
著者: 尾身茂1
所属機関: 1WHO西太平洋地域事務局
ページ範囲:P.524 - P.525
文献購入ページに移動2005年5月9日にマニラを出発し,まず,イタリア・ローマに立ち寄る.国連食糧農業機関(FAO)の幹部たちと,鳥インフルエンザについて話し合うためである.その後,第58回世界保健総会(World Health Assembly: WHA)注)に参加するため,スイス・ジュネーブに向かった.本総会の重要議題の1つは,国際保健規則(International Health Regulation: IHR)の改正であったが,今回はそのIHR改正についての,私のささやかな感慨について述べてみたい.
5月16日からWHAは始まった.初日の参加者の最大関心事は,オブザーバーとしての台湾のWHOへの参加資格についてであった.その理由は昨年の異常事態にあった.昨年,総務委員会(総会の議題項目の決定機関)では,激論の末,当問題を総会では議論しないと決定していた.しかし,総会においても,各国代表の賛否両論がぶつかり合い,最終的には,各国がそれぞれ「YES」または「NO」を明示する投票まで持ち込まれた.こうして,丸1日が本問題の議論に費やされるという,前代未聞の異常事態の中で,WHAが始まった.そのため,今年も同様の困難を懸念する向きが多かったが,今回は,本問題を総会において議論せずという総務委員会での決定が尊重され,順調なWHAの出だしとなった.
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