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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生69巻8号

2005年08月発行

文献概要

連載 グローバリゼーションと健康・8

リプロダクティブヘルスとグローバリゼーション―ブラジルとアメリカから

著者: 三砂ちづる1

所属機関: 1津田塾大学学芸部国際関係学科

ページ範囲:P.657 - P.660

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ブラジルと妊娠中絶

 ブラジルでは,妊娠中絶はご法度である.女性の生命に危険が及ぶとき,あるいはレイプのケース以外では,合法的な妊娠中絶は禁じられている.

 妊娠中絶は,合法であろうとなかろうと,宗教的に問題が提起されようとされていまいと,文化的に受け入れられていようといまいと…これらすべてにかかわらず,多くの女性が人生において直面しなければならない「現実」である.いくら子どもが好きでも,いくら赤ちゃんを産みたいと思っていても,いくら相手の男を心から愛していても,女性が妊娠中絶を選ばなければならないことがあるという現実は,どのような国にも存在する.政府が禁止すれば,女性は危険であると知りながら,あらゆる手段を講じて妊娠中絶をしようとする.だからこそ,世界の妊産婦死亡の大きな原因のひとつが妊娠中絶であり,「妊娠中絶の違法化は,妊娠中絶を減らさない,危険にするだけである」と言われているのである1)

参考文献

1) Mundigo AI, Indriso C (ed): Abortion in the Developing World. World Health Organization, Zed Books, London, 1999
2) Coelho HLL, Misago C, Fonseca WVC, Sousa DSC, Araujo JML: Selling abortifacients over the counter in pharmacies in Fortaleza, Brazil, Lancet 338: 274, 1991
3) Fonseca W, Misago C, Kanji N: Misoprostol and mifepristone. Lancet 338: 1594, 1991
4) Misago C, Fonseca W, Correia L, Fernandes LM, Campbell O: Determinants of abortion among women admitted to hospitals in Fortaleza, North Eastern Brazil. International Journal of Epidemiology 27: 833-839, 1998
5) Fonseca W, Misago C, Fernandes L, Correia L, Silveira D:Uso da aspiracao manual a vacuo na reducao do custo e duracao de internamentos por aborto incompleto em Fortaleza, CE, Brasil. [Adoption of manual vacuum aspiration for treatment of incomplete abortion reduces costs and duration of patient’s hospital stay in an urban area of Northeastern Brazil.] Revista de Saude Publica 31(5): 472-478, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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