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文献概要
連載 医師が保健所研修にやってくる―ピンチをチャンスに変える保健所を目指せ!・3
―保健所の宝の活かし方②―医療を外側から見せるために
著者: 川島ひろ子1
所属機関: 1石川中央保健福祉センター
ページ範囲:P.666 - P.669
文献購入ページに移動研修医の中には,一度社会人として活躍した後に,医学部へ入り直した人もいる.このような人は,世間の物指しを持っているので,臨床という社会を世間と比較して考えることができる.しかしほとんどの研修医は,かつての私と同様,世間を経験することなく臨床に入った,いわゆる「世間知らず」である.これまでのように,診察室の中だけにいて,患者の病気だけを診ているのならそれでもいいが,全人的医療を目指す21世紀の今,これでは困る.患者は世間の物指しに従って暮らしており,臨床の物指しは,彼らの普段の生活には無関係である.よって,医師のほうが世間の物指しを身につけ,臨床の物指しと二本立てで,全人的医療を目指す必要がある.
研修医たちに世間の物指しを持たすためには,医療の外側に身を置いて,外側から医療を眺めさせるのが,一番効果的な方法である.そのためには,普段から仕事を通して医療を外側から見ている,保健所での研修が役に立つ.保健所には,外側から医療を見るのに都合の良いものがたくさん揃っている.対人サービスのケース記録,医療相談の記録,医療監視の記録,医療計画書等,他では絶対に得られない,宝の山を持っている.
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