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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生69巻9号

2005年09月発行

雑誌目次

特集 介護予防をどうすすめる?・2 介護予防事業の多角的取り組み

地域における介護予防事業の評価と展望

著者: 安村誠司

ページ範囲:P.696 - P.700

改正介護保険法案が平成17年6月22日に参議院本会議で可決,成立した.平成12年に本制度がスタートしてから最初の大幅な改正である.いよいよ平成18年4月からは新制度が開始となる.今回の最も大きな改正点は,介護予防重視型システムへの転換であると言える.改正の詳細は,前号〔本誌69巻8号620ページ,「介護予防と老人保健事業の見直し」(三浦公嗣著)〕を参照されたい.

 さて,国レベルにおける政策評価は平成14年4月から実施され,厚生労働省でも厚生労働行政全般を対象とした政策評価を実施することとなった.しかし,筆者の知る限り,個別事業の有効性に関する科学的な評価は十分に行われてこなかったのが実態である.

高齢者の転倒予防事業

著者: 新野直明

ページ範囲:P.701 - P.704

高齢者の転倒は寝たきりの主要原因であり1),その予防を目的とした活動は,高齢者の日常生活動作(ADL),quality of life(QOL)を保持・向上させるために,大きな意義がある.近年,介護保険の施行とも関係し,わが国でも高齢者の転倒の減少,予防を目的とした教育・活動が,多くの市町村で実施されるようになってきた.

 筆者らは,効率的な転倒予防活動事業を推進する研究の一環として,自治体が行う転倒予防事業の内容や効果に関する調査を継続してきた.

 本稿では,厚生労働省長寿科学総合研究事業の補助を受け,2003年度に実施した調査の結果2,3)を中心に,わが国における高齢者の転倒予防事業の実態について報告する.

介護予防における口腔機能向上の意義

著者: 新庄文明 ,   福田英輝

ページ範囲:P.705 - P.708

口腔機能は介護予防の必須条件

 新しく始まる介護予防の取り組みの中で,「口腔機能の向上」は「栄養改善」ならびに「運動機能の向上」とあわせて,新予防給付の主要なプログラムの1つとされている.口腔機能の低下は,低栄養状態や生活機能低下をもたらすことから,口腔機能向上は介護予防の基本に位置付けられるべき取り組みである.さらにそれは,栄養や筋力の向上を通じた転倒防止や閉じこもり等の予防だけでなく,気道感染予防,認知症,循環器疾患などの予防にもつながることが示唆され,今後の介護予防にとって不可欠な要素である.

 各種の口腔ケアや口腔機能リハビリテーションとしてすすめられてきた口腔機能向上の取り組みは,各地ですでに効果や実績を示しており,今後の通所介護や通所リハビリテーションとしての新予防給付サービス,ならびに市町村保健センター等における地域支援事業において,歯科衛生士等を主な担当者とする普及と,その成果が期待される.また,これらの新しい事業の成果を確実にするためには,歯科診療室等の情報提供や診療体制の確保,ならびに高齢者のみならず成人一般を含めた保健事業との連携の強化が重要である.

閉じこもり高齢者への保健福祉活動

著者: 藺牟田洋美

ページ範囲:P.709 - P.712

今後予想される要介護高齢者数の急増を抑止する方策の一つとして,高齢者の閉じこもり生活の解消を目指した介入プログラムの開発は,公衆衛生上の重要な課題である.本稿では,閉じこもり高齢者への介入研究の成果を概観し,今後の課題について論じたい.

閉じこもり研究の歩み

 2000年の介護保険導入と同時に,介護予防事業の一環として,「生きがい活動支援事業通所事業」で閉じこもり高齢者に対する公的事業が開始された.それ以降,高齢者の閉じこもりへの関心は高まったが,研究の歴史は10年にも満たない.

 竹内1)が1984年に寝たきりの原因の一つとして「閉じこもり症候群」を提唱した.その12年後に,閉じこもりの有病率とその関連要因に関する研究報告が初めてなされた2).研究によって若干異なるが,閉じこもりは週1回未満の外出頻度で定義することが多い.また,閉じこもりの高齢者は身体・心理・社会的活動性・機能の低い状態にあり,閉じこもりは高齢者の生活様式であることはすでに知られているところである.

高齢転居者の社会的孤立と介護予防

著者: 斎藤民 ,   甲斐一郎

ページ範囲:P.713 - P.717

高齢転居者に対する介護予防の意義

 1990年代から,都市部に暮らす子ども宅に高齢者が呼び寄せられる,いわゆる「呼び寄せ老人」という現象が指摘され始めた.転居先に友人もなく,閉じこもりがちな生活から痴呆や寝たきりに移行する可能性があるという1).しかし,こうした高齢者の出現割合や,その特徴を明らかにした研究はわずかである.

 1. 高齢者の転居率

 日本では高齢者は転居しないと思われてきたが,1980年代以降,高齢期に転居率が高まる現象が注目されるようになった2)

 平成12年度の国勢調査では,65歳以上高齢者の他自治体からの転入率(過去5年間)は4.7%であり,必ずしも高い割合ではない.ただし地域差があり,高齢者の転入率は大都市近郊で多い.例えば東京都市部においては,他自治体からの転入率(過去5年間)が10%を超える自治体が8つある.このうち,施設入所を目的とする転入が多いと考えられる自治体もあるが,一方でこうした施設が少ないにもかかわらず,転入が多い自治体もある.

地域リハビリテーションとしての介護予防

著者: 柳尚夫

ページ範囲:P.718 - P.721

地域リハと保健所

 「地域リハビリテーション(以下,リハ)とは,障害のある人々や高齢者およびその家族が住み慣れたところで,そこに住む人々とともに,一生安全に,いきいきとした生活が送れるよう,医療や保健,福祉および生活に関わるあらゆる人々や機関・組織がリハの立場から協力し合って行う活動のすべてを言う」が,日本リハ病院施設協会の定義であるが,公衆衛生の概念に近いと私は受け止めている.

 一方,大阪府では地域リハ体制整備推進事業の一部を保健所が担っており,急性期,回復期(医療)から維持期(介護保険)までの圏域のリハシステムを考える立場でもある.そのため,保健所は今回の介護保険法改正の目玉である「介護予防」を地域でどう進めるかという課題に,市町村と共に関わるべき立場である.

活動レポート①―OT・PTが関与した介護予防事業の実際

著者: 内田和恵

ページ範囲:P.722 - P.724

島根県での地域リハビリテーションの推進

 島根県でリハビリテーション関連事業に取り組み始めたのは,市町村機能訓練事業の支援を主な目的として,平成3年から始まった保健所へのOT・PTの配置である.当初は全保健所への配置を目指してスタートしたが,その後3名のOT・PTが複数の保健所(全7保健所)を兼務する形で配置されている.

 平成11年8月の「島根県保健医療計画」において,重要な柱の1つに「地域リハビリテーションの推進」が位置づけられたのを受けて,住民に身近な地域でのリハビリテーションの円滑な推進を図るため,「島根県地域リハビリテーション指針」が策定された.これにより,二次医療圏域ごとの体制整備を目指して,圏域単位で指針を作成するとともに,「地域リハビリテーション支援センター」の整備を行っている.

活動レポート②―保健所による高齢者口腔ケア推進事業

著者: 原田まりこ ,   阿彦忠之

ページ範囲:P.725 - P.727

高齢者の積極的口腔ケアは,介護予防を推進し,QOLの向上を図る上で重要な課題である.介護保険制度の中に新たに創設される地域支援事業でも,口腔ケアが介護予防サービスの重点項目として例示されたが,地域における取り組みは不十分である.そこで,保健所機能を生かして高齢者の予防的口腔ケアを推進し,これを地域に普及・定着させることを目指して,平成15年度から2年間のプロジェクト事業を実施した.

 なお,村山保健所は,山形県村山地域の7市7町(人口約58万人)を管轄し,老年人口割合(平成16年10月現在)は23.8%である.

活動レポート③―マシンを用いない高齢者体力向上トレーニング

著者: 山本長史

ページ範囲:P.728 - P.729

介護予防として行われている高齢者体力向上トレーニング事業は,高齢者が“その人らしい暮らし”ができるように行われるものであり,これまでの国の実施方法では,トレーニングマシンを使用する方法が示されている.しかし,マシンを購入しトレーニングを実施するためには,市町村は大がかりな設備投資が必要であり,実施している市町村数は必ずしも多くない.

 そこで,北海道では平成15年度に,マシン等の設備の有無にかかわらず,市町村が取り組むことのできるトレーニングの開発を目指したモデル事業を行ったので報告する.

視点

高齢者福祉施設でのノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生

著者: 田中知徳

ページ範囲:P.690 - P.691

福山市は広島県東部に位置し,東は岡山県と県境をなし,南には瀬戸内海を臨む,人口約42万人の中核市です.かつては万葉集で大伴旅人にも詠まれた,潮まち風まちの港として栄えた鞆の浦を始めとする歴史深い街です.現在は豊かな自然の恵みによる農林水産業が盛んな一方,備後地域における商工業の中心を担っており,文字通りの中核都市であります.

 急激な少子高齢化の進展が本市においても重要な課題となっている中で,本年1月に高齢者福祉施設において,ノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生が起こりました.入所者,職員併せて67人が下痢,嘔吐,発熱のいずれかの症状を呈し,入所者の有症者の内,7人の方が亡くなられました.有症者の38人の便からノロウイルスが検出され,さらに,無症状者17人からもノロウイルスが検出されました.

特別寄稿

学校の安全を考える

著者: 藤田大輔

ページ範囲:P.731 - P.734

学校危機メンタルサポートセンターは,平成13年6月8日に大阪教育大学教育学部附属池田小学校において,23名の児童および教員が殺傷された事件を契機として,大阪教育大学に設置された全国共同利用施設です.そのため,このセンターの主な活動として,①附属池田小学校事件の被害者など学校危機による被害者の精神的支援を行うこと,②学校危機と安全に関する予防および支援の実践と研究を行うこと,③心的外傷を受けた児童・生徒の心理教育および心のケアの実践と研究を行うことが活動目的として規定されています.この学校危機メンタルサポートセンターには6名の専任教員が配置され,組織としては「トラウマ回復部門」,「心の教育部門」,「学校危機管理部門」の3つの部門から構成されています.筆者はこのうちの「学校危機管理部門」を担当しています.

 今回,「学校の安全」に関して,「学校危機の3段階予防」の観点から見たリスクマネジメントのあり方と,今後の安全教育の展開の方向性について意見を述べさせていただきたいと思います.

越境する公衆衛生

[インタビュー]少子高齢社会をどう超えるか

著者: 野田聖子 ,   高鳥毛敏雄

ページ範囲:P.735 - P.740

高鳥毛 公衆衛生の領域において,少子化は極めて大きな問題です.ここ30年あまりは,われわれの関心事は高齢者の問題一色になってきたとも言えます.日頃は厚生労働省の政策だけに目を奪われがちですが.少子化の問題は社会全体,国全体で今後考えていかないといけない.

 今日は国会議員である野田議員に,国政レベルで,この問題がどう認識され,対策が検討されているのかについてお話を伺いたいと思います.よろしくお願いいたします.

連載 Health for All―尾身茂WHOをゆく・18

新たな“家庭医”像の提案

著者: 尾身茂

ページ範囲:P.692 - P.693

今回は,家庭医(Family Physician/General Physician)に関する話を続けよう.

 前回は,家庭医の定義,存在意義,またその数が日本では絶対的に少ない点などについて述べた.今回は,世界家庭医学会(World Organization of National Colleges, Academies and Academic Associations of General Practitioners/Family Physicians: WONCA)アジア太平洋地域総会での講演の内容に基づいて,新たな“家庭医”に対する私の「提言」を述べよう(注:「家庭医」,「総合医」,「かかりつけ医」など,いろいろな言葉が使用されているが,ここでは便宜上,“家庭医”として使用しよう).

公衆衛生ドキュメント―「生きる」とは何か・18

三井三池炭鉱における一酸化中毒患者の悲劇

著者: 桑原史成

ページ範囲:P.694 - P.694

三井三池鉱山の三池炭鉱(大牟田市)で悲劇が起きたのは,1963(昭和38)年11月9日であった.坑内の炭塵爆発によって458名が死亡し,一酸化炭素による一酸化中毒患者が800名以上も出た.私ごとだが,取材で現地を訪れていて,奇しくも米国大統領ジョン・F・ケネディの暗殺事件(11月23日)をニュースで知った.

 一酸化中毒による重症患者は,隣県の熊本大学の附属病院に移送された.熊本大学医学部では水俣病の発生以来,中枢神系疾患による病状の研究が進められていて,長期間にわたって患者への治療が続けられた.

グローバリゼーションと健康・9

グローバル化と難民,移民の健康問題

著者: 喜多悦子

ページ範囲:P.741 - P.745

グローバル化と言われて久しいが,何がグローバル化したのであろうか?

 紛争地での保健医療に携わった経験からすると,近年のテロ続発という不穏な風潮と,各地で勃興している,やや過激な保守主義の広がりは実感するが,個人の生活に関して,特別の変化はないように思える.おそらく,難民や移民であっても,個々の人々の生活はそれほど変化していないと思われる.今回与えられた主題「グローバル化と難民,移民の健康問題」では,集団としての問題を概観する.

日本の高齢者―介護予防に向けた社会疫学的大規模調査・9

高齢者の就業状態と経済的不安―主観的健康感・抑うつとの関連

著者: 遠藤秀紀 ,   近藤克則 ,   末盛慶 ,   市田行信 ,   斎藤嘉孝 ,   吉井清子 ,   「健康の不平等」研究会

ページ範囲:P.747 - P.750

本稿では,高齢者の就業状態と経済的不安,健康状態との関連を検討する.

 高齢期を「第2の現役期」(平成15年度版『厚生労働白書』)とし,生き生きと社会的活動に参加できる生活環境づくりを進める上で重要なものが「高齢者就業」である.

医師が保健所研修にやってくる―ピンチをチャンスに変える保健所を目指せ!・4

―保健所の宝の活かし方③―臨床に近い保健所事業

著者: 川島ひろ子

ページ範囲:P.751 - P.754

保健所研修が含まれている「地域保健・医療」は,研修カリキュラムの2年目に組み込まれている.つまり,1年にわたる内科,外科,救急の勉強を終え,ほんのちょっと臨床医らしいことができるようになった頃に,保健所研修が始まるのである.卒業したての初めの1年間は,毎日が緊張を要する初経験の連続で,多分ほとんどの研修医たちは,精神的にも肉体的にも疲れ果てた状態にあるだろう.しかし,それにもかかわらず,毎日少しでも多くの臨床経験を積んで,1日も早く先輩たちのようになりたいと願っている.

 そんな研修医たちは,保健所研修は,大事な臨床研修を途切れさせる不本意なものと考えるかもしれない.中でも特に,自ら保健所を選択した訳ではない研修医は,腹立たしい思いを持っているかもしれない.このような者も含め,研修医たちに「保健所に来てよかった」と感じてもらうためには,受け入れ側のわれわれが,できるだけ工夫をこらす必要がある.

現場が動く!健康危機管理・4

和歌山毒物カレー事件

著者: 永井尚子

ページ範囲:P.755 - P.757

平成10年,和歌山市において発生した毒物混入事件,いわゆる「毒物カレー事件」は,地域における健康危機管理に多くの課題を残した.

 当時,健康危機管理に関する認識や,保健所の位置付けはまだ明確ではなかった.ネックとなった関係機関連携,特に警察との連携に関しては,事件への対応の中で改善された.激化するマスコミへの対応には甚だ苦慮した.和歌山市保健所は,事件発生直後の対応から,青酸,砒素と新たな情報への対応,特に医療機関調整と患者情報の集約,検査体制の確保,心のケア事業,長期健康観察事業,そしてマスコミ対応等,長期・多岐にわたる業務を実践してきた.指針もマニュアルもない中での実践であったが,基本は,日頃の公衆衛生実践の上に立っていると考える.

 本稿では,初期対応,特に「診断」に関する事項について検証した.本事件は,原因不明の健康危機事例であり,原因が確定するまでに12日を要した.『当初保健所は「食中毒」として対応し,続いて「青酸」そして「砒素」と転じた』と報じられている.『もっと早期に診断されれば,また誤った診断(=食中毒)をしなければ,救命も可能であったのでは』と追及された.果たしてその「診断?」は実際どのような経過でなされたかを時系列に3期に分けて分析した.また,原因不明の危機事例が発生した場合の「原因究明=診断」が迅速かつ正確になされるためにどのような体制が必要かについても,焦点を絞りまとめた.

衛生行政キーワード・11

がん対策推進本部

著者: 吉見逸郎

ページ範囲:P.758 - P.759

平成17年4月19日に「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」報告書(以下,均てん化報告書)が,検討会座長の垣添国立がんセンター総長より,尾辻厚生労働大臣へ提出された.この検討会は,昨年来,がん患者の代表者の方からのヒアリングを含め,5回の全体会議と2回の報告書起草委員会会合を経て作成されたもので,全国のがん医療水準の格差に関するデータの現状を踏まえ,格差を生み出す要因と課題を述べ,最後のがん医療水準の均てん化に向けての提言で報告書を締めくくっている.

 この提言(表1)では,①専門医等の育成,②早期発見にかかわる体制等の充実,③医療機関の役割とネットワーク,④がん登録制度,⑤情報の提供・普及の5つの柱の下に具体的な提言の形をとっており,さらには,国,国立がんセンター,都道府県,地域がん診療拠点病院,特定機能病院,学会といった関係団体の役割を具体的に記載し,均てん化を進めるためのロードマップ兼アクションプランの形をとっている.なお,全文については,厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/s0419-6.html)から閲覧できる.

赤いコートの女―女性ホームレス物語・13

混乱する共同生活

著者: 宮下忠子

ページ範囲:P.760 - P.762

波さんの家出

 アパート生活を始めて,波さんは太ってきた.平沢さんは,日に日に廋せてきた.聞くと4kg廋せたという.2人とも不安,イライラが限界に達している様子であった.波さんは共同生活に疲れを感じるようになった.平沢さんは,同じく共同生活の過程でハナという愛犬を自分の都合で見放した身勝手さに悩んでいた.波さんの病気からくる錯乱は主に夜中に酷くなり,薬で抑えようにも薬そのものを頑なに拒否している.平沢さんは,波さんの興奮を鎮めるのに疲れ切ってしまう.

 2人は今までそれぞれに路上ではあっても,精神的には気楽な存在であった.お互いに,何年もさらし身のまま,1人で路上生活を送ってきたのである.しかし今,2人のそれぞれのテントはない.

調査報告

自動車内における浮遊粒子状物質の動向

著者: 高木啓之 ,   日置敦巳

ページ範囲:P.763 - P.765

大気中への浮遊粒子状物質の排出規制については,自動車の排出ガスでは,特にディーゼル車で規制強化が図られている.一方,2003年5月に健康増進法が施行され,受動喫煙を防止するため,公共施設等における対策を講ずるよう努力義務が課されたところである.

 1日のうちかなりの時間を過ごすこともある自家用車内の空気環境については,交通量が多い幹線道路では他車の排出ガスを取り込む危険性が高いこと,および車中で喫煙をしている人がいることにより,車中に浮遊粒子状物質濃度が高くなり,乗車している人の健康を損なう可能性がある.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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