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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生69巻9号

2005年09月発行

文献概要

特集 介護予防をどうすすめる?・2 介護予防事業の多角的取り組み

閉じこもり高齢者への保健福祉活動

著者: 藺牟田洋美1

所属機関: 1首都大学東京健康福祉学部

ページ範囲:P.709 - P.712

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今後予想される要介護高齢者数の急増を抑止する方策の一つとして,高齢者の閉じこもり生活の解消を目指した介入プログラムの開発は,公衆衛生上の重要な課題である.本稿では,閉じこもり高齢者への介入研究の成果を概観し,今後の課題について論じたい.

閉じこもり研究の歩み

 2000年の介護保険導入と同時に,介護予防事業の一環として,「生きがい活動支援事業通所事業」で閉じこもり高齢者に対する公的事業が開始された.それ以降,高齢者の閉じこもりへの関心は高まったが,研究の歴史は10年にも満たない.

 竹内1)が1984年に寝たきりの原因の一つとして「閉じこもり症候群」を提唱した.その12年後に,閉じこもりの有病率とその関連要因に関する研究報告が初めてなされた2).研究によって若干異なるが,閉じこもりは週1回未満の外出頻度で定義することが多い.また,閉じこもりの高齢者は身体・心理・社会的活動性・機能の低い状態にあり,閉じこもりは高齢者の生活様式であることはすでに知られているところである.

参考文献

1) 竹内孝仁:寝たきり老人の成因―「閉じこもり症候群」について. 老人保健の基本と展開, pp148-152, 医学書院, 1984
2) 藺牟田洋美・他:地域高齢者における「閉じこもり」の有病率ならびに身体・心理・社会的特徴と移動能力の変化. 日本公衛誌45: 883-892, 1998
3) 島貫秀樹:Ⅲ. 介入プログラムの内容と実際. 日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(C) 地域の後期高齢者に対する転倒予防対策の介入効果に関する研究 平成13年度~平成14年度研究成果報告書. pp17-32, 2001
4) 阿彦忠之:「閉じこもり」予防に関する介入プログラムの作成および評価に関する研究. 厚生労働科学研究費補助金 (長寿科学総合研究事業)「閉じこもり」高齢者のスクリーニング尺度の作成と介入プログラムの開発 平成12年度~平成14年度総合研究報告書. pp160-178, 2002
5) 森 明子・他:地域高齢者に対する介護予防事業への関わり~回想法を用いて. 作業療法22: 393, 2003
6) 武藤孝司・他:要介護状態の予防を目的とした高齢者向け保健指導プログラムの開発と評価. 大和証券ヘルス財団研究業績集26: 63-68, 2003
7) 藺牟田洋美・他:準寝たきり高齢者の自立度と心理的QOLの向上を目指したLife Reviewによる介入プログラムの試行とその効果. 日本公衛誌51: 471-482, 2004
8) 安村誠司・他:「閉じこもり」高齢者に対する主観的QOLの向上を目指した介入プログラムの開発と評価. 日本公衛誌49(10): 761, 2002
9) 藺牟田洋美・他:「閉じこもり」高齢者に対する介入研究(第1報) ライフレビュー場面での心理的変化. 日本公衛誌51(10): 701, 2004
10) 高戸仁郎・他:「閉じこもり」高齢者に対する介入研究(第2報) 運動指導が体力変化に及ぼす影響. 日本公衛誌51(10): 701, 2004
11) 伊藤常久・他:「閉じこもり」高齢者に対する介入研究(第3報) 健康情報の提供に伴う選択内容の特徴. 日本公衛誌51(10): 702, 2004
12) Kinugasa T, et al: Reliability and validity of the Motor Fitness Scale for old adults in the community. Aging 10: 295-302, 1998
13) 黒川由紀子・他:老年期における精神療法の効果評価―Life Reviewをめぐって. 老年精神医学雑誌6: 315-328, 1995
14) Haight BK: The therapeutic role of a structured life review process in homebound elderly subjects. J Gerontol 43: 40-44, 1988
15) Bandura A: Self-efficacy; Toward a unifying theory of behavioral change. Psychol Rev 84: 191-215, 1977
16) 藺牟田洋美・他:自立および準寝たきり高齢者の自立度の変化に影響する予測因子の解明 身体・心理・社会的側面から. 日本公衛誌49: 483-496, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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