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特集 結核
小兒結核の疫學
著者: 大坪佑二1
所属機関: 1世田谷乳兒院
ページ範囲:P.26 - P.34
文献購入ページに移動年齡は結核に大きな影響を與える。結核に對する生物學的反應,感染形式,榮養,生活條件など多數の複雜なる因子が結核に對して大きな影響があるものと推察されるが,それ等の各因子の年齡的の差異も亦大きな因子であろう。その綜合的な結果の現れが,年齡別死亡曲線であつて,世界各國のその曲線を見ると,乳幼兒より學童までに漸減し,學童期には最低の谷を作り,以後上昇傾向をとることは共通している。
ところが乳幼兒の死亡率と其の後學童より靑年を經て老年に至る死亡率との割合は必ずしも平行的關係を示さない。全體の死亡率は減つても,その割合に乳幼兒の死亡率が減らなかつたり,又その逆に全體の死亡率は餘り減らないにかゝわらず,乳幼兒の死亡が激減したりする。久保博士の昭和15年の報告を見ると,各國年齡別死亡曲線で5歳頃の谷と20歳頃の比率は各國とも大體7〜8倍であるが,5歳以下の幼兒死亡の比較割合は5〜9歳における死亡數との割合が日本にて最も小さく,次でイタリー,ドイツ,イギリス,アメリカの順に多くなつている。全結核死亡數と乳幼兒死亡數との比率は必ずしも一致しない。
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