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公象衞生の發達(2)
著者: 杉靖三郞
所属機関:
ページ範囲:P.239 - P.241
文献購入ページに移動18世紀に於ては,近代的な意味で軍陣医学とも云えるものが漸く起りかけてきた。この軍陣医学は一般の予防医学のさきがけとみなすべきであつて,18世紀の社会においては,一般人に対する疾病の予防的取締りや統計的観察ということは,未だ充分に行われず,この樣な取締り及び統計的観察は陸海軍の兵士達を対象としてます行われた。
イギリス陸軍における最初の医事的改良者のなかで最も重要な仕事をしたのはベールハーヴエの弟子でスコツトランド人のプリングル卿Sis John Pringle(1701-1782)であつた。この人はイギリス陸軍の外科医として永い経驗をもつており,後には重要な地位についていろいろな意見を実行にうつしたのであつた。発疹チフスと軍隊の野営熱と監獄熱との3つが同一の種類のものであることをはじめて発見したのも彼である。また腐敗現象が病氣の原因になることを発見して消毒という観念をはじめて説いた人だとも云える。
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