文献詳細
特集 コミュニティと関係性の再構築
病める「関係性」の再生をめざして
文献概要
本稿で述べる「病める関係性」とは,「現代社会における人々の関わりの型・方法の喪失」を意味している.それは,コミュニケーション能力,自己表現能力,人間関係の形成・維持能力などの弱化や欠如を表す概念である.現代社会の「関係性」は,その希薄化を基調としながら,浮遊,濃密化,歪みの各方向にブレる(複雑に絡む)という特徴を示している.
関わりを持つことに疲れ,関わりを放棄する自殺は,そのような「病める関係性」から生じる典型的な社会病理現象であり,浮遊する関係性ゆえの青少年の自殺,濃密化・歪む関係性ゆえの中高年の自殺がある1).
関わりを持つことに疲れ,関わりを放棄する自殺は,そのような「病める関係性」から生じる典型的な社会病理現象であり,浮遊する関係性ゆえの青少年の自殺,濃密化・歪む関係性ゆえの中高年の自殺がある1).
参考文献
1) 高原正興・他(編):病める関係性―ミクロ社会の病理. 学文社, 2004
2) 厚生統計協会:国民衛生の動向. 厚生統計協会, 2004
3) 宮島喬(訳):自殺論. 中公文庫, 1985
4) 川人博:過労自殺. 岩波新書, 1998
5) 芹沢俊介:論説/私の視点―自殺予防対策, 朝日新聞2005年7月16日付
6) 澤田徹郎:農村の老人自殺について. 現代の社会病理(4), pp168-183, 1989
7) 中久郎:日本人の自殺. 宝月誠・他(編):日本の社会学13・社会病理. 東京大学出版会, 1986
8) 高橋祥友:自殺の心理学. 講談社現代新書, 1997
9) 本橋豊:論説/私の視点―自殺予防対策. 朝日新聞, 2005年7月16日
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