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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生70巻10号

2006年10月発行

文献概要

特集 インフルエンザ インフルエンザを巡る最近の話題

② 夏季のインフルエンザの流行

著者: 平良勝也1

所属機関: 1沖縄県衛生環境研究所

ページ範囲:P.766 - P.767

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 わが国のインフルエンザは,通常11月~翌年3月の冬季に流行することが知られている.ところが,2004/2005年シーズンの沖縄県では,冬季に流行し終息したかに思えたインフルエンザが,6月下旬~8月の夏季に再び流行するという異例の事態が起きた.本稿では,その時の流行状況について報告する.

 本県のインフルエンザ患者数は,県内58か所(小児科34,内科24)のインフルエンザ定点医療機関から保健所に週単位で報告され把握されている.2004/05シーズンインフルエンザ定点当たり患者報告数を図1に示す.患者は,第3週(1/17~1/23)に定点当たり1.0人を超え,第11週(3/14~3/24)には69.6人となり,全国より2週遅れてピークに達した.過去10シーズンと比べると2004/05シーズンのピークの高さは,2002/03シーズンに次いで2番目であった.その後,患者は減少し一時は終息したかに思われた.しかし,第25週(6/20~6/26)から患者が再び増加し,第27週(7/4~7/10)には注意報発令基準値である10人を超え,第29週(7/18~7/24)まで続き,異例の夏季流行となった.第30週(7/25~7/31)には注意報発令基準値を下回り終息に向かったが,その後も定点当たり少なくとも1.0人以上の患者発生が52週(第48週を除く)まで続いた.

参考文献

1) 国立感染症研究所ウイルス第3部第1室, WHOインフルエンザ協力センター:2004/05シーズンのインフルエンザ流行株の解析. 病原微生物検出情報26(309): 289-293, 2005
2) 後藤則子・他:非流行期にインフルエンザウイルスAH3型が分離された1症例. 病原微生物検出情報26(309): 302-303, 2005
3) 佐藤克彦・他:インフルエンザ非流行期(7月)におけるAH3型インフルエンザウイルスの単発分離例. 病原微生物検出情報24(284): 258-259, 2003
4) 宮城朝光・他:非流行期におけるA(H3)型インフルエンザウイルスの分離例. 病原微生物検出情報22(260): 251, 2001
5) 平良勝也・他:インフルエンザ非流行期におけるB型およびAH1型ウイルスの分離. 病原微生物検出情報25(295):237, 2004
6) 佐原啓二・他:夏季に起きたB型インフルエンザウイルスによる集団発生. 感染症誌73(3): 253-254, 1999
7) 葛谷光隆・他:岡山県におけるB型変異株ウイルスによるインフルエンザ流行(1997年4月~7月). 日獣会誌51(12): 741-745, 1998
8) 井上ゆみ子・他:夏季に発生したAH3型インフルエンザウイルスの施設内流行. 病原微生物検出情報26(307): 244-245, 2005
9) プラニ・タワットスパー・他:2004年8月下旬~9月にタイ・バンコク在留邦人コミュニティーに流行したインフルエンザ. 病原微生物検出情報25(297): 292-293, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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