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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生70巻11号

2006年11月発行

文献概要

連載 統合化を模索する国際保健医療政策・4

ヘルスプロモーション戦略に基づく統合型学校保健政策(FRESH)

著者: 湯浅資之1 中原俊隆2

所属機関: 1国立国際医療センター国際医療協力局 2京都大学大学院医学研究科健康政策・国際保健学教室

ページ範囲:P.900 - P.904

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 途上国では健康と教育が不可分の関係にあることはよく知られている.女性の教育程度が子どもの死亡率の改善に寄与する例として,女子の初等教育就学率が10%上昇すると乳児死亡率(IMR)が出生1,000あたり4.1低下し,女子の中等教育就学率が同じだけ上がると,IMRはさらに5.6減少するという1).逆に疾病の程度が就学に与える負の例として,学童の鞭虫症重症度と学校欠席日数の間に相関関係を見出した報告がある(表1)2).これらの事例が示すように,途上国における健康の改善は教育の向上につながり,教育の改善は健康の向上に寄与するという双方的関係が健康と教育にはある.そこで本稿では学校教育に保健を統合化した国際保健医療政策を紹介したい.

参考文献

1) 国連児童基金(著), ユニセフ駐日代表事務所(訳):世界子供白書1999, 教育. 日本ユニセフ協会, 1998
2) Nokes C, Bundy DAP: Compliance and Absenteeism in School Children; Implication for Helminth Control. Transactions of the Royal Society of Tropical Medicine and Hygiene 87: 148-152, 1993
3) WHO, UNESCO, UNICEF, World Bank: World Education Forum 2000, Final Report. Geneva, WHO, 2000
4) UNESCO, UNICEF, WHO, World Bank: Focusing Resources on Effective School Health; A FRESH start to Enhancing the Quality and Equity of Education, School Health Toolkit and a Resource Guide for Task Managers. World Bank, Washington, 2002
5) WHO: The WHO’s Information Series on School Health-Local Action Creating Health Promoting Schools, Chapter 5. Geneva, WHO, 2000: 26
6) WHO: Ottawa Charter for Health Promotion. Geneva, WHO, 1986
7) 湯浅資之, 菅波茂, 中原俊隆:プライマリ・ヘルス・ケアとヘルス・プロモーションの共通点・相違点の考察-ヘルス・プロモーションの開発途上国適用への模索. 日本公衛誌48(7): 513-520, 2001
8) 湯浅資之, 吉田友哉, 菅波 茂, 中原俊隆:プライマリ・ヘルス・ケアとヘルス・プロモーションの共通点・相違点の考察-第2稿;人口・疾病・社会政治構造の視点から見た相違点. 日本公衛誌49(8): 720-728, 2002
9) 若杉なおみ:国際保健医療の現状と課題;アフリカ. 日本国際保健医療学会(編):国際保健医療学, pp234-237, 杏林書院, 2001
10) WHO(編), 川畑徹朗, 西岡伸紀, 高石昌弘, 石川哲也(監訳), JKYB研究会(訳):ライフスキル教育プログラム. 大修館書店, 1997
11) World Bank/Partnership for Child Development: FRESH; Focusing Resources on Effective School Health. World Bank, Washington, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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