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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生70巻11号

2006年11月発行

文献概要

資料

乳幼児をもつ母親の「虐待の気がかり」に関連する要因と予測因子―3か月児健診と1歳6か月児健診における縦断調査

著者: 新田紀枝1 和泉京子2 山本美穂3 村上徳子4 野原洋子5

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 2大阪府立大学看護学部 3北区保健福祉センター保健福祉係 4元西成区保健福祉センター地域活動係 5大阪市健康福祉局健康推進部健康政策課

ページ範囲:P.908 - P.912

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 近年,都市化の進展や少子化のいっそうの進行など,子どもや子育てをめぐる問題が多様化し,子どもへの虐待が深刻な社会問題になっている.公衆衛生における虐待の第1次予防は発生前に対応するものであり,ハイリスク家庭を把握し,援助による問題の解決を図り,虐待への進行をくい止めるものである1).虐待の周囲には,それを取り巻く虐待リスクのある家庭の存在がある2)といわれているが,わが国における児童虐待の把握数は,機関が支援している虐待の発生に関する調査・研究の結果であり3),実際の虐待リスクのある家庭としての把握はほとんどされていない.

 そこで,従来の母子保健事業である乳幼児健診の中で虐待発生予防に取り組む観点から,本研究は3か月児健診および1歳6か月児健診を縦断して調査を行い,「虐待しているのでは」と思っている母親の特徴を記述し,3か月児健診時の状況から1歳6か月児健診時に「虐待しているのでは」と思っている母親を予測できる因子を明らかにすることを目的とし,研究を行った.

参考文献

1) 松井一郎, 谷村雅子:(虐待をめぐって)児童虐待と発生予防. 母子保健情報42: 59-68, 2000
2) 厚生労働省社会保障審議会児童部会:児童虐待に関する現状データ, 「児童虐待の防止等に関する専門委員会」 報告書別添, 2003
3) 山田和子:(これからの公衆衛生看護)地域保健における児童虐待に関する調査・研究の動向と課題. 公衆衛生研究49(2): 148-152, 2000
4) 小林美智子:児童虐待の実態と対応. 小児看護20(7): 852-857, 1997
5) 谷村雅子, 松井一郎:(子ども虐待)子ども虐待のリスク要因. 保健の科学41(8): 577-582, 1999
6) 牧野カツコ:乳幼児をもつ母親の生活と〈育児不安〉. 家庭教育研究所紀要3: 34-56, 1982
7) 萱間真美, 相模あゆみ・他:児童虐待の危険因子-一般人口の母親から見た自分・夫婦・社会・わが子. 精神科診断学12(4): 425-435, 2001
8) 木下蔦子:虐待予防の視点で実施した1歳6ヵ月児健康診査未受診への訪問相談. 保健の科学43(12): 945-948, 2001
9) 矢後早苗:乳幼児健康診査未受診児訪問指導を実施して-児童虐待の早期発見を目的として(第1報). 神奈川県公衆衛生学会誌50: 101, 2004
10) 肝付晶子, 川井真奈美・他:1歳6か月児健康診査未受診児フォロー状況について. 第42回大阪小児保健研究会:1, 2005
11) 福本 恵:(子どもの虐待)子どもの虐待防止のためのハイリスク要因等実態調査-母子保健調査. 地域保健32(6): 60-81, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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