公衆衛生70巻12号

2006年12月発行

特集 クスリと公衆衛生 地域における服薬支援

②結核患者への服薬支援の実際

著者： 小林典子¹

所属機関： ¹結核予防会結核研究所対策支援部

ページ範囲：P.947 - P.949

　2000年に「21世紀型日本版DOTS戦略」(以下「日本版DOTS」)が発表されて6年が経過した．当初，DOTSによる服薬支援は大都市の一部先進的な地域や病院に限られたものであったが，2003年に「日本版DOTS」の推進体系¹⁾が示され，各地に広がった．

　2005年9月に厚生労働省が全国の自治体を通して行ったDOTS体制の実態調査の結果，結核病床を有する医療機関の75.1%が院内DOTSを実施し，79.1%の保健所が地域DOTSを実施していた²⁾．2006年1月の保健所長会による調査では，院内DOTS実施率は74.9%で，先の調査結果とほぼ同率であったが，地域DOTSについては42.9%の保健所が「十分できているとは言えない」と回答した³⁾．

　本稿では，結核患者の治療完遂を共有の目的に，全国の医療機関と保健所において実施されている服薬支援の取り組みについて報告する．

参考文献

1) 厚生労働省健康局結核感染症課長通知. 健感発第0220001号. 平成15年2月20日

2) 佐藤　愛：DOTSの実態調査-自治体へのアンケートから. 保健師・看護師の結核展望87(1): 73-75, 2006年前期号

3) 新谷幸弘：DOTSの実態調査-全国保健所へのアンケートから. 保健師・看護師の結核展望87(1): 76-78, 2006年前期号

4) 森　亨：新たな結核対策の技術と展望. 結核79(10): 587-603, 2004

5) 日本結核病学会保健・看護委員会：院内DOTSガイドライン. 結核79(11): 689-692, 2004

6) 地域DOTSの工夫：平成17年度結核研究所保健看護学科研修資料

7) 吉田道彦：特集②多剤耐性結核症への対応-保健所の立場から. 保健師・看護師の結核展望87(1): 33-38, 2006年前期号