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在宅療養者に発生したノルウェー疥癬事例―地域での疥癬蔓延の背景を考える
著者: 神谷三千緒1
所属機関: 1名古屋文理大学短期大学部介護福祉学科
ページ範囲:P.998 - P.1001
文献購入ページに移動従来疥癬の発生は30年周期で流行するとされていたが,近年の発生状況(1975年以降)は,通年発生の様相を呈し,周期的流行型から蔓延常時発生型に変化してきた.「疥癬は終戦直後には,皮膚科を訪れる患者の80%を占める高頻度の病気であった.1975年頃から再度増加し,以後一般の人々の間ではやや減少の傾向が認められるものの,一方で特に老人病院や養護施設における集団発生が問題になっている」1).このような状況の中で高齢者施設等では,感染症対策の重点に疥癬を置いている.しかし,国の感染症法の対象疾患ではなく,発生状況を把握するためには,個別の調査が必要となる.2001年には全国老人保健施設協会が全国調査を実施,2004年には牧上らによって疥癬発生に関する全国調査が行われた.それによると「疥癬の発生は依然として続いている」2)と報告されている.1975年から今日まで,疥癬の発生が続いているということである.
このことから,筆者が訪問介護事業所の立場(市社会福祉協議会本部所属で健康管理・ヘルパー指導)で経験したノルウェー疥癬(角化型疥癬)事例は,公衆衛生(地域保健)上の今日的課題であると考え,報告することとした.
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