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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生70巻12号

2006年12月発行

文献概要

フォーラム

在宅療養者に発生したノルウェー疥癬事例―地域での疥癬蔓延の背景を考える

著者: 神谷三千緒1

所属機関: 1名古屋文理大学短期大学部介護福祉学科

ページ範囲:P.998 - P.1001

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 疥癬は,ヒゼンダニの感染(寄生)によって引き起こされる皮膚疾患であり,強烈な掻痒感があり,睡眠が妨げられるなど生活上の困難が大きく,著しくQOLの低下をきたす疾患である.

 従来疥癬の発生は30年周期で流行するとされていたが,近年の発生状況(1975年以降)は,通年発生の様相を呈し,周期的流行型から蔓延常時発生型に変化してきた.「疥癬は終戦直後には,皮膚科を訪れる患者の80%を占める高頻度の病気であった.1975年頃から再度増加し,以後一般の人々の間ではやや減少の傾向が認められるものの,一方で特に老人病院や養護施設における集団発生が問題になっている」1).このような状況の中で高齢者施設等では,感染症対策の重点に疥癬を置いている.しかし,国の感染症法の対象疾患ではなく,発生状況を把握するためには,個別の調査が必要となる.2001年には全国老人保健施設協会が全国調査を実施,2004年には牧上らによって疥癬発生に関する全国調査が行われた.それによると「疥癬の発生は依然として続いている」2)と報告されている.1975年から今日まで,疥癬の発生が続いているということである.

 このことから,筆者が訪問介護事業所の立場(市社会福祉協議会本部所属で健康管理・ヘルパー指導)で経験したノルウェー疥癬(角化型疥癬)事例は,公衆衛生(地域保健)上の今日的課題であると考え,報告することとした.

参考文献

1) 小西亮子・他:感染防止8(5): 42-48, 1998
2) 牧上久仁子:療養病床・精神病院での疥癬発生に関する全国調査. 64日本公衆衛生学会総会抄録集, 2005
3) 大滝倫子:疥癬の診断・治療・対策. 日本医事新報3994: 8-14, 2000
4) 長谷哲也・他:横浜市総合保健医療センターにおける疥癬. 皮膚臨床39(10): 1550, 1997
5) 山崎修道・他:感染症予防必携. pp60-61, 2000
6) 牧野好夫:疥癬. 皮膚病診療19(5): 441, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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