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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生70巻2号

2006年02月発行

視点

「安全・安心なまちづくり」のために公衆衛生関係者ができること―セーフティプロモーションのすすめ

著者: 反町吉秀1

所属機関: 1東地方健康福祉こどもセンター(青森保健所)

ページ範囲:P.82 - P.83

文献概要

昨今の日本社会においては,かつては当たり前のように思われていた社会における日々の安全・安心が,怪しくなっていることを感じている人は少なくないと思う.そんな中,私たち公衆衛生関係者が,安全・安心づくりのためにできることについて,尾身茂先生(WHO西太平洋地域事務局長)が,第62回日本公衆衛生学会(2003年,京都)で語ってくださった貴重なご講演1)を材料に,考えてみたい.

諸問題の根源としての関係性の喪失と関係性の回復の必要性

 尾身先生のご指摘は,おおよそ以下の通りであった.日本社会の抱える大きな問題は,教育の荒廃,犯罪の増加,自殺の増加の3つである.そして,それらの現象の根本に共通してあるのが,社会の閉塞感であり,さらにその背景にあるのは,家庭,地域,職場における関係性の喪失である.したがって,それらの問題の根本的な解決には,各場面における関係性の回復が不可欠である.関係性回復の鍵となるのは,①住民参加,②創造的を可能にする開放性,③個と公の調和,を持つ新しいコミュニティの創造である1,2)

参考文献

1) 徳田武:日本の再生は公衆衛生から! 社会を癒し, 地域を活性化する公衆衛生を時代は求めている. 特別講演―尾身茂「公衆衛生と日本の再生―地域社会の活性化を通して」. 第62回日本公衆衛生学会総会詳報. 公衆衛生情報33(12): 21, 2003
2) 尾身茂:深刻な健康問題―自殺. 公衆衛生69(10): 772-773, 2005
3) 反町吉秀, 渡邉直樹:セーフティプロモーション及びセーフコミュニティとは何か. ストレス科学19(3): 119-124, 2004
4) 大西基喜, 小野重遠, 久保田芳則, 熊谷仁人, 反町吉秀, 大橋俊子, 山田典子:平成16年度地域保健総合推進事業「特徴的な健康被害の発生時に備えた保健所の危機管理機能強化」における研究サブグループ「市町村におけるセーフティプロモーションのモデル事業化」報告書, 2005
5) 反町吉秀:セーフティプロモーションについての研究. 平成15年度厚生労働科学研究補助金健康科学総合研究事業「健康日本21計画の改訂と改善に資する基礎研究」(主任研究者/長谷川敏彦)報告書Ⅲ. 新領域検討1:事故予防, pp145-154, 2004
6) 新京都府総合計画実現のための中期ビジョン「人・間中心の京都づくり」5つのビジョン http://www.pref.kyoto.jp/vision/kaisetsu.html#section2-5
7) 横浜市衛生局保健部保健政策課―横浜市事故予防サイト http://www.city.yokohama.jp/me/eisei/jikoyobou/index.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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