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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生70巻2号

2006年02月発行

文献概要

トピックス 水俣病認定申請者調査①

なぜ今,大量の水俣病認定申請者なのか?

著者: 成元哲1 牛島佳代2 川北稔3 丸山定巳4 「不知火海研究プロジェクト」5

所属機関: 1中京大学社会学部 2福岡大学医学部公衆衛生学教室 3愛知教育大学教育実践総合センター 4久留米工業大学工学部 5不知火海研究プロジェクト

ページ範囲:P.124 - P.127

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公式発見50年目の水俣病の現在(表)

 水俣病の「公式発見」から50年目を迎えようとしている現在,なぜ水俣病認定申請者が大量に出現しているだろうか? 周知のように,2004年10月の水俣病関西訴訟の最高裁判決が,1995年の政府解決策で「終わった」とされた水俣病問題に,新たな始まりを告げている.最高裁判決以降,熊本・鹿児島の両県で公害健康被害補償法に基づく水俣病認定申請者は,2005年11月末の時点で3,300人を超えており,この認定申請者のうち500人を超える人が,国や熊本県,加害企業のチッソを相手に損害賠償請求訴訟を起こしている.単年度の認定申請者数では,これまでの記録を更新する一方,「最終解決」をうたった政府解決策から10年が過ぎて,再び闘争の季節が到来している.何がこうした大量の水俣病認定申請のうねりを生み出しているのか? また,全体として認定申請者がどのような状況におかれているのか?

 本稿の目的は,2005年4月末~6月初めにかけて行われた質問紙を用いた面接調査の結果から,こうした疑問に答えることにある.認定申請者個々人の状況に関しては,これまで新聞やテレビなどで報道されているが,全体として申請者がどのような健康状態であるのか,また日常生活において,いかなる障害を抱えているのかは明らかにされていない.そこで本稿では,申請者が今回どのような経緯で申請に至ったのか,そして現在どのような要望を持っているのかを含めて,申請者全体の生活実態を明らかにしようとするものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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