文献詳細
文献概要
特別寄稿
環境と人権がつくる人々の健康と安全―公衆衛生学の新たな発展をめざして
著者: 岸玲子1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科予防医学講座公衆衛生学分野
ページ範囲:P.298 - P.303
文献購入ページに移動第二次大戦後の日本の公衆衛生,その光と陰
乳児死亡率や妊産婦死亡率などは,戦前非常に高かったが,地道な公衆衛生活動により,乳児死亡率は世界でもっとも低いレベルまで低下した.世界一の長寿が達成され,平均寿命は男性で78歳,女性で85歳である.その意味で戦後の日本の公衆衛生は大きな成功を遂げ,サクセス(success)であったと言える.明治の女工哀史に代表されるような劣悪な労働環境は,戦後,労働安全衛生法が制定され改善されたが,高度経済成長期には職業病と労働災害が多発した.産業公害で広範な地域の大気,土壌や水質が汚染され,「修復と再生」の歴史であった.
掲載誌情報