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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生70巻5号

2006年05月発行

文献概要

活動レポート

日本の難民の医療状況―医療相談をとおして

著者: 山村淳平1

所属機関: 1港町診療所内科

ページ範囲:P.407 - P.411

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世界の地域紛争や政治的・民族的迫害によって多くの難民が発生している.そのほとんどは近隣諸国に逃れているが,その一部は先進諸国に保護を求め流入している.

 日本は1981年に難民条約を批准し,難民の受け入れを表明している.しかし,その実態をみると,日本政府は難民(および申請者)を保護しているとはけっしていえない.1996年以降,年間300~500名が難民申請しているが,2003年に認定されたのはわずか10名(認定率3%)にすぎず1),アメリカ2万7千名(同48%),イギリス2万2千名(同26%),フランス1万千名(同35%),ドイツ7千名(同9%)の認定者数とは比べものにならないほどの少なさである2).しかも住居・職業・医療・教育などの基本的な生活支援はほとんどなされておらず,就労が許されていないこともある.欧米では,難民申請中であっても,生活支援制度があり,医療は保障され,就労も許可されているのとは大きな違いである.

参考文献

1) 法務省入国管理局:平成15年における難民認定者数等について. 広報資料;pp1-9, 2004
2) 国連難民高等弁務官事務所:Population Statistic, 2002
3) 山村淳平:傷つけられた難民. メディカル朝日387: 52-55, 2004
4) 山村淳平:傷つけられた在日外国人. メディカル朝日397: 50-51, 2004
5) 山村淳平:法務省・入管収容所での人権侵害. 法学セミナー609: 70-74, 2005
6) 難民支援協会:マンデート難民・POC・人道的配慮による在留を認められた者に対する生活実態調査. pp8-25, 2002
7) 市川政雄:難民トラウマと精神的ストレス. 法と民主主義333: 52-57, 1998
8) 野田文隆:難民とトラウマ. 臨床精神医学(増):152-157, 2002
9) 毎日新聞:2002年8月11日
10) Walker PF, Jaranson J: Refugee and immigrant health care. Med Clin North America 83: 1103-1120, 1999
11) The Council of the European Union: Directive 2003/9/EC of 27 January 2003 laying down minimum standards for the reception of asylum seekers. Official Journal of the European Union: 18-25, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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