icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生70巻8号

2006年08月発行

文献概要

連載 感染症実地疫学・8

市中におけるSalmonella Enteritidis感染症集団発生―長い潜伏期が問題となった事例

著者: 松井珠乃1

所属機関: 1国立感染症研究所感染症情報センター

ページ範囲:P.621 - P.624

文献購入ページに移動
 日本においてサルモネラは食中毒を起こす主要な病原体であり,血清型としては,Salmonella Enteritidis(以下SE)が多く分離される傾向にある1).また,SEによる集団食中毒においては,原因食品に鶏卵が使用されている事例が多いが,乾燥に強い菌の性状から環境に残存したSEによる食品の二次汚染も,重要な発生要因の1つと考えられている1).サルモネラ症の潜伏期は6~48時間,通常12時間と言われている2)

 2001年に発生したSE感染症の集団発生事例について,以下に,われわれFETP(Field Epidemiology Training Program:実地疫学専門家養成コース)が通常行っている,集団発生調査の際の基本ステップに沿った形式で,事例調査の主要部分について解説してみたい.この事例については,最終的には症例のうち最も多くを占めた集団については原因が判明したが,潜伏期が3~16日(中央値8日)と極めて長いものであったことも調査が難しかった1つの理由であった.なお,事例の詳細,事後の対応については,参考文献3~6)に掲載されているのであわせてご参照いただきたい.

参考文献

1) サルモネラ症 2003年6月現在. 病原微生物検出情報24(8): 179-180, 2003
2) 山崎修道・他:感染症予防必携 第2版. 日本公衆衛生協会, 2005
3) 柴田和顯・他:市内一円で発生したSalmonella Enteritidis食中毒の集団発生事例-豊橋市. 病原微生物検出情報23(4): 94-96, 2002
4) 松井珠乃・他:市内一円で発生したSalmonella Enteritidis食中毒の集団発生事例-豊橋市, 2001年. 食品衛生研究52(9): 29-34, 2002
5) 塚田真樹・他:サルモネラ症の集団発生事例についてSalmonella Enteritidisによる非典型的な集団食中毒. 食品衛生研究54(1): 53-56, 2004
6) Matsui T, et al: Salmonella Enteritidis outbreak associated with a school-lunch dessert: Cross-contamination and a long incubation period, Japan, 2001. Epidemiol Infect 132(5): 873-879, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら