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連載 性のヘルスプロモーション・9
[インタビュー]射精障害
著者: 岡田弘1 岩室紳也2
所属機関: 1帝京大学医学部附属病院泌尿器科 2(社)地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
ページ範囲:P.639 - P.644
文献購入ページに移動岩室 今回のゲストは私と同じ泌尿器科医でもある岡田弘先生です.連載タイトル「性のヘルスプロモーション」にぴったりのお話を伺えると確信しております.岡田先生のご専門は男性不妊症で,男性不妊とは,私が医師になった頃は,精子の数が少ない,運動率が悪いといったことが注目されていたのですが,近年は射精障害,そもそもセックスができない,腟内射精ができないという患者が増えているとお聞きしました.どこかおかしいのではないか,育ってきた環境に問題があるのではないかと思ったわけです.
岡田 今おっしゃったように,私が男性不妊を専門にし始めた25年くらい前は,精子の数が少ない,運動性が悪い,精路が詰まって精液の中に精子がいないという人がほとんどでした.たまに射精障害の患者がいると,精液が外尿道口から排出されず,膀胱へと逆行する逆行性射精で,射精障害を主訴にして来る患者さんはほとんどいませんでした.現在も,男性側に因子があろうが,女性側に因子があろうが,不妊症はほとんどが婦人科,しかも体外受精をするクリニックでなければ患者さんは集まらない.私のような男性不妊を真面目に時間かけてやっている医師は,全国で20人程です.男側の受け皿が世の中にほとんどありませんが,この10年で射精障害の患者さんが明らかに増えてきました.患者が来るようになったのかもしれないし,実際に患者数が増えたのかもしれない.これはわかりません.
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