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特集 認知症―予防とケアの最前線
認知症高齢者の自動車運転と権利擁護に関する研究
著者: 池田学1 上村直人2 荒井由美子3 野村美千江4 博野信次5
所属機関: 1愛媛大学大学院医学系研究科脳・神経病態制御医学講座 脳とこころの医学 2高知大学医学部神経精神科学教室 3国立長寿医療センター長寿政策科学研究部 4愛媛県立医療技術大学看護学科 5神戸学院大学人文学部人間心理学科
ページ範囲:P.692 - P.694
文献購入ページに移動一方,いつ運転をやめさせるべきかについては,多くの研究が,認知症と診断されても,軽度の段階では,その多くが安全に自動車を運転する能力は保存されていることや,自動車が,特に都市部以外で,日常生活に必要不可欠な道具であることから,認知症の診断だけでは,自動車運転免許の取り消しを行うべきではなく,個々の患者の運転技能を評価することが必要であるとしている.そのため具体的な評価法が必要であるが,現在のところ,妥当性のある評価法は存在せず,一般臨床現場で用いられる認知機能評価や日常生活活動評価などでは,重度の患者を安全に運転できないと判断することはできるものの,軽度の患者の運転能力に対する判断の指標は示されていない.また,介護者の患者の運転技能に関する報告も,直接的な利害関係の存在や,観察能力の限界などの理由により,信頼できるものではないとの報告が支配的である.
そのような状況の中,2002年に道路交通法が改正され,その103条で「公安委員会は痴呆症患者の運転免許証を停止,あるいは取り消すことができる」とされた.
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