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連載 感染症実地疫学・9
広域散発事例への多自治体協力による症例対照研究と今後への提言
著者: 中瀬克己1
所属機関: 1岡山市保健所
ページ範囲:P.706 - P.711
文献購入ページに移動食中毒では病因物質,原因食品,原因施設という3つの概念によって原因の特定と再発防止対策を行う.今回の事例では病因物質は腸管出血性大腸菌O157VT2と特定できた.しかし,原因食品は疫学調査によって疑われる食品が推定されたが特定できず,原因施設も特定できなかった.幸い,継続的な患者発生は把握されなかったが,原因食品と原因施設が明らかとならなかったことから,再発防止への貢献は少ない.
一方,調査過程で得られたものは大きい.今回の新しい調査手法と多自治体協力で得られた経験と今後の改善への提言を踏まえ,迅速・効果的な対応が行えるよう準備を進めたい.本稿では,まず,広域散発事例における調査/対策の基本的な手順を示し(表1)1),これにそって岡山市での具体的な動きを紹介する中で,経験や考え方を示したい.
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