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特集 がん対策・1 がん登録の意義と課題
2.地域がん登録の制度化に向けた諸課題
著者: 丸山英二1
所属機関: 1神戸大学大学院法学研究科
ページ範囲:P.31 - P.35
文献購入ページに移動地域がん登録は「特定の人口集団におけるがん患者のすべてを把握し,罹患から治癒もしくは死亡に至る全経過の情報を集め,保管,整理,解析すること」をその内容とする.がんの死亡数は,厚生労働省が行う人口動態調査からも判明するが,がんの罹患数,罹患率,生存率などは地域がん登録があってはじめて把握できる.したがって,がん登録は,がんの罹患の減少,治療成績の向上のためになされる対がん活動の評価に不可欠なものである.他方,がん登録における情報入手は,①医療機関においてがんと診断された患者について医療機関から届けられる届出票,②死亡届に添付される死亡診断書等に基づく死亡(小)票・死亡情報の保健所等からの入手,③がん患者の生死の把握のために市区町村役場で行われる住民票照会,などによっている.これらは,がんの病名告知が完全には実現されていないこともあって,患者の認識なく行われており,法的・生命倫理的観点からいうと,個人情報保護の点で問題をはらんでいる.
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