文献詳細
文献概要
特別記事
[新春対談]「若月俊一先生」を語る
著者: 大谷藤郎1 松島松翠2
所属機関: 1国際医療福祉大学,高松宮記念ハンセン病資料館,フランスベッドメディカルホームケア研究助成財団 2JA長野厚生連佐久総合病院
ページ範囲:P.43 - P.48
文献購入ページに移動出会い
大谷 今日は,松島先生と私が今まで見てきた若月俊一先生の生き様を通じて,後世,つまり若い人たちに若月先生はどういうメッセージを残したかったのか,それを浮かび上がらせるような対談にしたいと思います.
まず,松島先生が佐久病院へ行くことになった動機とは何ですか.
松島 私は大学を卒業して1年して,昭和28年6月に東大分院外科に入局しました.その時はまだ若月先生のことも,若月先生が同じ医局のメンバーだということも,佐久病院も知らなかったのです.たまたま当直中に医局に『健康な村』(岩波書店,昭和28年)という本があるのを見つけました.著者に若月俊一とあり,目次を見ると,農村の「農繁期のむり」「はえやしらみをなくそう」「村の伝染病」「家庭薬とおまじない」「はらの虫退治」などいろいろ載っているわけです.面白そうだなと思ってページをめくったら,なかなかわかりやすく,やさしく書いてある.その当時,大学で1年ぐらいしますと外の病院に2年ぐらい行くことになるのですが,私はこのことが頭にあったものですから,佐久病院を希望しました.そこで初めて,昭和29年の4月,佐久病院で若月先生と出会ったのです.
掲載誌情報