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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生71巻12号

2007年12月発行

文献概要

特集 ノロウイルス―ウイルス性下痢症 その他のウイルス性下痢症の集団発生事例

3.サポウイルス感染症

著者: 岡田峰幸1 篠崎邦子1

所属機関: 1千葉県衛生研究所ウイルス研究室

ページ範囲:P.998 - P.1000

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サポウイルスとは

 サポウイルス(Sapovirus)は主として小児の急性胃腸炎の原因ウイルスのひとつで,ノロウイルスと同じカリシウイルス科に属する.1977年札幌の児童福祉施設における胃腸炎の集団発生において初めて報告され,サッポロウイルスと名付けられた1).電子顕微鏡でウイルス粒子の表面に「ダビデの星(Star of David)」様の構造を見ることが形態学上の特徴である(図).ヒト古典的カリシウイルス,サッポロウイルス様ウイルスと呼ばれたが,2002年国際ウイルス命名委員会で正式に「サポウイルス」(属名)と命名された.

 サポウイルスには現在,遺伝子学的に5つの遺伝子群(Genogroup I~V)の存在が知られている2).そのうちヒトから検出されるものは4つの遺伝子群(GI,GII,GIV,GV)である.残りの1遺伝子群(GIII)はブタ腸管カリシウイルス(Porcine enteric calicivirus)に代表される,ブタ由来のウイルス群である.また,遺伝子群GIおよびGIIには,それぞれ複数の遺伝子型の存在が報告されている3).わが国においては,ヒトに由来する4遺伝子群すべてが検出されているが,GIが最も多く,次いでGIIが多く,GIVとGVの検出は稀である4)

参考文献

1) Chiba S, et al:Sapporo Virus;History and Recent Finfings. J Infect Dis 181 (suppl 2):S303-308, 2000
2) Farkas T, et al:Genetic diversity among sapoviruses. Arch Virol 149:1309-1323, 2004
3) Okada M, et al:Genetic variability in the sapovirus capsid protein. Virus Genes 33:157-161, 2006
4) 篠崎邦子・他:知的障害者施設におけるサポウイルスの集団発生―千葉県.病原微生物検出情報26(4):100, 2005
5) Okada M, et al:The detection of human sapoviruses with universal and genogroup-specific primers. Arch Virol 151:2503-2509, 2006
6) Oka T, et al:Detection of Human Sapovirus by Real-Time Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction. J Med Virol 78:1347-1353, 2006
7) 岩切章・他:サポウイルスによる感染性胃腸炎集団発生の2事例―宮崎県.病原微生物検出情報26(12):338-339, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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