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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生71巻12号

2007年12月発行

文献概要

連載 レセプト情報を活かす・9

海外のレセプト情報活用の例―韓国

著者: 岡本悦司1

所属機関: 1国立保健医療科学院

ページ範囲:P.1015 - P.1020

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審査評価院の誕生

 韓国は1977年に500人以上の企業を対象とした強制加入の職域保険を開始した後,保険適用人口を拡大し,1988年(ソウルオリンピック開催年)には自営の農林水産事業者を対象とする地域保険を全国的に導入させ,翌1989年には強制加入となって皆保険制を実現した.その後,2000年に大きな転機が訪れた.この年の7月,それまで373に分立していた保険組合が統合され,国民健康保険公団(NHIC)に一本化されたのである1)

 それと同時に,NHICほどには国民の関心を引かなかった新しい組織が誕生した.健康保険審査評価院(Health Insurance Review Agency:HIRA)である.韓国の医療保険はわが国と類似しており,全国共通の点数表に基づき全国共通のレセプト様式で医療機関が診療報酬を請求する点も同様である.2000年の一本化前は,レセプトは国民健康保険公団の前身である医療保険管理公団に提出され,そこで審査されていた.しかし保険者側による一方的な審査に医療側の不満は大きく,保険者から独立した審査機関を求める声が強かった.また制度改革前には数年にわたって全国的な論議が展開されたが,良質で効率的な医療を確保する制度を求める声もあがった.時あたかもインターネットやIT技術が急速に普及した時期で,医療のIT化が新生審査評価院の重要な役割となった2)

参考文献

1) 小林廉毅:韓国の医療保険制度改革の現状.国民健康保険(国民健康保険中央会)52(2):2-7,2001
2) 岡本悦司・他:医療分野における情報化促進のための国内外実態調査報告書――レセプトオンライン化に関する韓国実態調査.日本医療情報ネットワーク協会(http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060425_2_1.pdf)
3) わが国においても年間のレセプトを名寄せした調査はある.診療状況実態調査と呼ばれるが,1997年度を最後に以降は行われていない.http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/indexkk_37_1.html
4) 南商堯:韓国の医療費請求書データウェアハウスと医療の質評価への活用.ファイザーヘルスリサーチ振興財団助成「国際比較可能な医療の質指標開発に関する日韓共同研究」成果報告書(2006年12月),pp35-51
5) OECD(編著),岡本悦司(訳):医療の質国際指標(OECD医療の質指標プロジェクト報告書),p109,明石書店,2006
6) 審査評価院:脳卒中診療適正性評価結果(2007年9月).http://www.hira.or.kr/ICSFiles/afieldfile/2007/9/20/1_stroke_070910.pdf
7) Lee KS, Lee S:Does a higher coronary artery bypass graft surgery volume always have a low in-hospital mortality rate in Korea? J Prev Med & Public Health 39(1):13-20, 2006 Jan

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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