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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生71巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 過労死・過労自死

過重労働とうつ病,過労自死

著者: 島悟12 高野知樹2

所属機関: 1京都文教大学人間学部臨床心理学科 2神田東クリニック

ページ範囲:P.307 - P.311

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 今回の特集のテーマである「過労死,過労自死」は,周知のように最近の話題ではない.今回の特集の執筆者である上畑先生が過労死を提唱したのは,1970年代後半,川人先生が過労自死を提唱したのは1990年代後半のことであり,過労死という用語が提唱されてからすでに数十年という年月が経っているのである.それにもかかわらず,今回こうした特集が組まれること自体非常に残念なことである.この間に多くの人命が失われて,ご遺族が悲しみに明け暮れたわけである.

 いわゆるバブル経済崩壊後は,国家や企業の存亡の危機的状況と喧伝されて,強引なリストラが広範に行われて,一時はリストラを行わない企業や日本的雇用慣習とされてきた年功序列制や終身雇用制を維持する企業は時代遅れとされ,成果主義があたかも時代に合った人事評価制度であるかのように言われて,労働者の健康を守ることなど二の次とされた時代となった.最近では日本版ホワイトカラー・エグゼンプションまで導入されようとしており,過労死・過労自死が一層増えることが懸念される状況にすらある.

参考文献

1) 厚生労働省:人口動態統計特殊報告,2006
2) 警察庁:自殺の概要資料,2006
3) 厚生労働省:労働者健康状況調査,2002
4) 厚生労働省:心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針,1999
5) Shiels M:Long working hours and health. Health Reports 11:33-48,1999
6) 黒木宣夫:労災認定された自殺事案における長時間残業の調査.平成15年度厚生労働省委託研究,2004
7) 島 悟:未発表資料
8) 島 悟:労働者におけるうつ病の発症・再発モデルの検討.平成16年度厚生労働科学研究費補助金労働安全衛生総合研究事業,2003
9) 厚生労働省:事業場における労働者の心の健康づくりのための指針,2000
10) 厚生労働省:過重労働による健康障害防止のための総合対策,2002
11) 厚生労働省:職場における労働者の心の健康の保持増進のための指針,2006
12) 島 悟:労働者の心の健康の保持増進のための指針.産業精神保健14:172-175,2006
13) 高野知樹,島 悟:働き盛りの自殺予防.季刊精神療法32(5):568-576,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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