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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生71巻4号

2007年04月発行

文献概要

特集 過労死・過労自死

職場でのストレスの評価とその対策

著者: 下光輝一1

所属機関: 1東京医科大学公衆衛生学講座

ページ範囲:P.316 - P.320

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 厚生労働省が5年ごとに実施している労働者健康状況調査が示すように,働く人々のストレスは,労働者の心や体の健康問題に密接に関係しており,うつ病をはじめとする精神神経疾患による休業や過重労働による過労死,過労自死にもつながることから,職場におけるメンタルへルスの推進やストレス対策が,重要な課題となっている.

 このような状況に対して,労働省(現厚生労働省)は平成12年に「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を打ち出した.この指針は,各事業場において,事業主が,まず最初に心の健康づくり対策を積極的に実施していく方針を表明した後で,心の健康づくり計画を策定し,可能なところから計画を継続的に実施していくよう勧めている.また,心の健康づくり計画を実施するための具体的な方法として,4つのケアを推奨している.すなわち,①セルフケア,②ラインによるケア,③産業保健スタッフ等によるケア,④事業場外資源によるケアである.総合的で効果的なメンタルヘルスの推進やストレス対策を行うためには,これら4つのケアがそれぞれ単独で行われるのではなく,相互に密接に連携しながら実施されていくことが重要であり,また,これらのケアを円滑に進めていくためには,職場におけるストレスの測定・評価がしっかりなされていることが必須である.

参考文献

1) 原谷隆史:質問紙によるストレス測定NIOS職業性ストレス調査票.産業衛生学雑誌40:A31-32, 1998
2) 川上憲人:質問紙によるストレス測定Job Content Questionnaire(JCQ).産業衛生学雑誌39:A129-130, 1997
3) 中村賢・他:職場におけるストレス評価の実態に関する調査研究.労働省平成8年度「作業関連疾患の予防に関する研究」報告書,pp105-110, 1997
4) 下光輝一・他:職場におけるストレス測定のための簡便な調査票の作成.労働省平成9年度「作業関連疾患の予防に関する研究」報告書,pp107-115, 1998
5) 下光輝一・他:職業性ストレス簡易調査票の信頼性の検討と基準値の設定.労働省平成11年度「作業関連疾患の予防に関する研究」報告書,pp126-138, 2000
6) 原谷隆史・他:簡易ストレス調査票の信頼性と妥当性.労働省平成9年度「作業関連疾患の予防に関する研究」報告書,pp116-124, 1998
7) 東京医科大学公衆衛生学講座ホームページ:http://www.tokyo-med.ac.jp/ph/ts/index.html
8) 橋本修二・他:「仕事のストレス判定図」の完成と現場における有用性の検討.労働省平成11年度「作業関連疾患の予防に関する研究」報告書,pp12-39, 2000
9) 東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野ホームページ:http://mental.u-tokyo.ac.jp/jstress/hanteizu/index.htm
10) 主任研究者下光輝一:厚生労働科学研究費補助金労働安全衛生総合研究事業「職場環境の改善によるメンタルヘルス対策に関する研究」平成14年~16年度総括研究報告書,2005
11) 下光輝一・他:メンタルヘルスのための職場環境の改善―現状と課題.産業ストレス11(2):87-92, 2004
12) 中央労働災害防止協会:事業場におけるストレス対策の実際―ストレスの把握から職場環境等の改善まで,2006
13) 下光輝一,小田切優子:職業性ストレス簡易調査票(特集:職場で活用できるストレス調査票),産業精神保健121(1):25-36, 2004
14) 上畑鉄之丞:過労死.日本臨牀63(7):1249-1253, 2005
15) 下光輝一:過労死の現状と対策.綜合臨牀55(1):26-30, 2006
16) http://mhlw.go.jp/houdou/2004/06/h0630-1.html
17) http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/kanren-pamph.hyml

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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