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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生71巻7号

2007年07月発行

文献概要

特集 狂犬病・デング熱・マラリア・コクシジオイデス症―海外で罹る危険性のある感染症 海外で罹る危険性のある感染症update

4.A型肝炎

著者: 淸原知子1 米山徹夫1

所属機関: 1国立感染症研究所ウイルス第二部

ページ範囲:P.566 - P.568

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 食品を介して感染する急性ウイルス肝炎の大半はA型肝炎ウイルス(以下,HAV)が原因である.HAVは患者の肝臓で増殖した後,糞便中に排出され,感染源になる.ウイルスを含んだ排泄物に汚染された食材や水の経口摂取が主な感染経路である.汚染された手や食器からも感染する.糞口感染する疾患の発生状況は,衛生環境に依存する.

 衛生環境の未整備な途上国ではHAVが常在していて,子どものうちに人口のほぼ100%が感染する.日本や北欧のように衛生環境の整った国では,ウイルスの伝播経路が絶たれ,A型肝炎の発生は減少する.そのため人口のほとんどがHAVに対する防御抗体を持たない.このような人たちが衛生環境に問題がある地域に渡航する時は感染を受けやすいので,汚染の危険のある生水,生野菜,未調理の食品には注意が必要である.

参考文献

1) Hollinger FB, Emerson SU:Hepatitis A virus. Knipe DM, et al(eds):Fields Virology. pp911-947, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PA, 2007
2) Grace MS, et al:High and persistant excretion of hepatitis A virus in immunocompetent patients. J Med Virol 78:1398-1405, 2007
3) Kiyohara T, et al:Shifting seroepidemiology of hepatitis A in Japan, 1973-2003. Microbiol Immunol 51:185-191, 2007
4) 国立感染症研究所・感染症情報センター:感染症発生動向調査週報IDWR 8巻20号(2006)
5) 国立感染症研究所・感染症情報センター:病原体微生物検出情報IASR 23巻11月(2002),25巻1,10月(2004),27巻6月(2006)
6) Mutsch M, et al:Hepatitis A virus infections in travelers. Clin Infect Dis 42:1988-2004, 2006
7) Fiore AE:Hepatitis A transmitted by food. Clin Infec Dis 38:705-715, 2004
8) 国立感染症研究所・地方衛生研究所連絡技術協議会:病原体検出マニュアル http://www.nih.go.jp/niid/reference/index.html
9) Basnyat B, et al:The Japanese need travel vaccinations. J Travel Med 7:37, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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