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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生71巻8号

2007年08月発行

文献概要

特別記事 検証「健康格差社会」―介護予防に向けた社会疫学の可能性①

介護予防のストラテジー―社会疫学の視点から

著者:

所属機関: 1

ページ範囲:P.685 - P.691

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 介護保険制度の見直しによって,介護予防重視のシステムが導入された.しかし,蓋を開けてみると,「介護予防事業の対象となる特定高齢者が把握できない」「参加希望者がいない」という問題が指摘されている.高齢者人口の5%という目標に対し,現状はわずかに0.2%と報じられたほどである.なぜであろうか? どうしたらよいのであろうか?

 今年3月18日に行われた日本福祉大学21世紀COEプログラム国際シンポジウム“検証「健康格差社会」―介護予防に向けた社会疫学の可能性”の目的は,この問題に迫り,問題解決の手がかりを探ることである.

 本号では,シンポジウムの第1部,Kawachi教授(ハーバード大学公衆衛生大学院)による基調講演「介護予防の戦略―社会疫学の視点から」の要旨を掲載する.そして次号ではシンポジウムの第2部,AGES(Aichi Gerontological Evaluation Study:愛知老年学的評価研究)プロジェクトの報告を行う.

参考文献

1) Rose G:The Strategy of Preventive Medicine. Oxford University Press, 1992(監訳/曽田研二・田中平三;予防医学のストラテジー:生活習慣病対策と健康増進.医学書院,1998)
2) 藤野,高越・他:大規模コホート研究(JACC Study)の一環としての研究より.日本の高齢者における学歴と主な死亡原因に関するコホート研究(Fujino Y, Takakoshi A, et al:A nationwide cohort study of educational background and major causes of death among the elderly population in Japan. Prev Med 40:444-451, 2005)
3) 近藤克則:健康格差社会―何が心と健康を蝕むのか.医学書院,2005
4) 苅谷剛彦:階層化日本と教育危機―不平等再生産から格差社会へ.有信堂高文社,2001
5) イチロー・カワチ,他(著),西信雄,高尾総司,中山健夫(監修):不平等が健康を損なう.日本評論社,2004
6) Nakaya T, Dorling D:Geographical inequalities of mortality by income in two developed island countries;A cross-national comparison of Britain and Japan. Soc Sci Med 60:2865-2875, 2005 
7) 橋本英樹:もう一つの問題;若年者の非正規&不安定雇用.東京大学2006年10月講演より
8) Festinger L, et al:Social Pressures in Informal Groups. Stanford University Press, 1950
9) Kawachi I, et al:Social capital, income inequality. Am J Public Health 87:1491-1498, 1997
10) Hogstedt, et al:The Swedish public health policy and the National Institute of Public Health. Scand J Public Health Suppl 64:6-64, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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