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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生71巻9号

2007年09月発行

雑誌目次

特集 性差医療から考える―患者の望む医療とは?

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ページ範囲:P.729 - P.729

 米国では,1980年代より科学的根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine:EBM)の推進を背景として,女性医学・医療が進展しました.2000年頃よりわが国にも性差医学・医療の概念が導入され,大学病院等医療機関における3分診療が問題となる中,国や自治体の医療政策とも相まって,患者のニーズに応える医療として女性専門外来が注目されるようになりました.

 2001年にわが国初の女性専門外来が設置されて以来,全国で女性専門外来を設置する医療機関は急速に増加し,5年間でその数は350を超え,男性専門外来も50施設に及んだと言います.患者のニーズも,当初の「女性医師にゆっくり訴えを聞いてもらいたい」というものから,「性差医療に精通した知識・経験を持つ医師の診察を期待する」ものへと進化しつつあると言われます.

性差医療の現状と課題について

著者: 宮尾益理子 ,   大内尉義

ページ範囲:P.730 - P.734

 2001年にわが国で初めての「女性専門外来」が鹿児島,続いて千葉で誕生してから,はや5年以上が経過した.米国に10年遅れで始まった女性医療への取り組みは多くのマスコミに取り上げられ,行政主導のものも含めて瞬く間に全国に広がり,すべての都道府県に計400以上の女性外来が開設された.

 女性専門外来,女性専用外来,女性総合外来など名称は様々であるが,共通しているのは,「女性であれば,症状は問わないこと」と「十分な診療時間の確保(多くは予約制・初診は最低30分の確保)」である.内科または婦人科の女性医師が担当していることが多いが,乳腺外科,泌尿器科,精神科,心療内科,皮膚科などの医師が加わっているところもある.「女性医師による女性のための時間をかけた診療」という看板に,従来の診療で解決できなかった問題を抱えた多くの女性が殺到,現在でも予約のとりにくい施設もあれば,担当者のバーンアウトや受診者のニーズに答えられないことが原因で閉鎖する女性外来も出てきている.

 本稿では,女性外来から明らかとなった女性医療(男性医療)と診療体制に関するニーズと,性差医療の今後につき述べていきたい.

性差医学・医療(女性医療)の歴史と進歩―米国における女性医療とCenter of Excellence(COE) in Women's Healthの展開

著者: 龍野一郎

ページ範囲:P.735 - P.742

 古くから,医療・医学の分野では男女比が圧倒的に女性に傾いている疾患,男女間の発症率が同じでも疾患の予後が異なるもの,いまだ生理的生物学的解明が女性で遅れている病態などの存在が認識されてきてはいましたが,このような男女の差(性差)を考慮した医療・医学(Gender-specific or Gender-sensitive Medicine:ジェンダー・センシティブ・メディシン)は必ずしも重要視されてきませんでした.日本では第二次世界大戦後の急速な経済発展と相まって,公衆衛生・医療水準の急速な進歩が,乳幼児死亡率は急激な低下・若年者の感染症(結核など)をもたらし,中高年のがん・生活習慣病への対策によって平均寿命は改善し,現在,世界一の長寿国の1つとしての地位を確立してきましたが,古くより男性を中心として作られてきた社会であり,このような公衆衛生・医療水準の進歩は,実は必ずしも性差(男女差)を考慮せず,男性を中心としたデータに基づいて築き上げられてきたという反省が今なされています.

 このような反省に基づいて,男女の生物学的性差,社会的な男女の位置付けと相互の関係性,男女それぞれに見られる特有の疾患や病態などの医学的な実証に基づいて行う医療として,性差を考慮した医療・医学が注目を集めてきています.そして,日本では2001年5月に鹿児島大学を手始めに,同年9月に千葉県立東金病院で立ち上げられた女性専用外来は,性差を考慮した医療・医学の実践の場として機能し,これらをモデルにした女性専用外来が全国に広がりました.

わが国における女性外来ブームに見る患者の望む医療とは?

著者: 対馬ルリ子

ページ範囲:P.743 - P.748

 1980年代の米国のウィメンズヘルス,1990年代の性差医学研究,リプロダクティブヘルス/ライツ宣言などのグローバルな流れを受けて1~3),21世紀になりわが国の女性医療にもようやく新しい波が訪れた.それが,女性にとって敷居の低い医療の窓口,女性外来である.特に,2001年頃から行政主導で公立病院,大学病院などに次々に女性外来が開設され,にわかに活況を呈したが,最近では,当初の混乱も過ぎ去り,それぞれに地域の実情や施設に合わせた形で定着してきているようである.

 今後は,わが国の女性医療全般をどうすべきかを,産科医療や小児医療,保育・介護・終末医療をも含めて再考せねばならない時期に来ていると思われるが,女性医療の質の向上にとって最も大切なのは,女性の,患者として当事者としての視点が,医療にどのように反映されていくかであろう.当事者発の女性外来を運営している立場から,これまでのわが国の女性医療の歴史を振り返りつつ考えてみたい.

性差医療における医療従事者教育の課題

著者: 松田昌子

ページ範囲:P.749 - P.753

 人は遺伝子を介して受け継いだ性質や育った環境によってそれぞれ異なる性質を持つ.今日の医療では,そのような一人ひとりの性質に合わせて行う個別医療が,より的確な予防や診断・治療を可能にするということで推奨されている.しかし,男女の違いである性差は個人差を考える上で,第一段階のものであるにもかかわらず,生殖器以外の臓器に関する性差に対して注意が払われることは少なかった.

 形態的にも機能的にも,そしてそれが異常をきたした疾患においても明らかに性差がある.その違いを明らかにし,それに基づいて行う医療が性差医療である.すなわち,性差を考慮することはより良い医療を行うための大切な要素であり,医療従事者の教育の中に性差を考慮する視点を加えることは,年齢を考慮することと同様に必要不可欠なことと考えられる.

 わが国でも性差医学・医療への認識は徐々に高まり,専門学会でも性差をテーマにした演題も散見されるようになった.しかし,それらの知見が医療現場へフィードバックされるほど医療従事者には普及していない.本稿では,性差医療を普及させるための方策についてこれまでの経緯,医療従事者の教育,女性医師の役割を中心に述べていきたい.

個人の特性に応じた医療(オーダーメイド医療)と予防

著者: 羽田明

ページ範囲:P.754 - P.757

 オーダーメイド医療とは,本稿のタイトルのとおり個人の特性に応じた医療を意味する.同義語として,個別化医療,個の医療,テーラーメイド医療などがある.狭義には個々人の遺伝(子)情報により,適切な疾病予防法,個々人の体質,病態に適切な薬物などの治療法を選択する医療であるが,広義には年齢,生活習慣,社会的状況,心理的状況,環境をも考慮した医療であり,終末期医療もその範疇に入れても良いだろう.

 また,糖尿病,高血圧,骨粗鬆症など,易罹患性にも個人差がある.個々人の疾病予防を考える上で,個人差を考慮に入れたオーダーメイド健康管理法の開発も,ますます重要になると思われる.

 現在,すでに実際の医療に応用され始めたオーダーメイド医療は,薬剤選択に関する医療である.薬に対する反応性の個人差をヒトゲノム情報,ゲノム解析技術を用いて解析する概念をファーマコジェノミクスと言う.

 本稿では,まずファーマコジェノミクスの現状に触れ,さらに今後のオーダーメイド医療,オーダーメイド健康管理の展望を述べたい.

性差と公衆衛生

著者: 加藤則子

ページ範囲:P.758 - P.761

性差医療とは

 性差医療(gender specific medicine)とは,

 ①男女比が圧倒的にどちらかに傾いている疾患

 ②発症率はほぼ同じでも男女間で臨床的に差を持つもの

 ③生理的・生物学的解明が男性または女性で遅れている病態

 ④社会的な男女の地位と健康の関連

 などに関する研究を進め,その結果を疾病の診断,治療法,予防措置へ反映することを目的とした医療である1)

視点

少子化対策のビジョン

著者: 野田聖子

ページ範囲:P.724 - P.725

少子化は福祉の問題ではない

 昨今,少子化がようやく,国家存亡にもつながりかねない深刻な問題であるとの認知が広まってきた.にもかかわらず,その効果的な対策について議論はなかなか深まらない.それは,少子化対策を福祉の範疇で捉えるからだ.母や子に対し福祉的措置を施せば少子化が解消するとの矮小化された視点が,少子化問題の本質を見えなくしている.

 出産は女性の個人的問題で,出生数が落ちたのは女性の社会参加意識や学歴が高くなったから,との意見がある.永田町でもそうした考え方は根強い.しかし,私は,少子化は女性だけの問題,責任では全くなく,福祉の問題でもない,国の土台そのものの話だと申し上げたい.少子化が進み人口が減少すれば,国の土台は小さくなる.高齢化とあいまって,世代人口間比率のバランスが歪み,社会制度の担い手不足,経済活動の担い手不足という,国家にとって深刻な問題が引き起こされる.そういう脆弱な土台の上に日本という家をどう建てるのか,というのが,少子化問題の最大のポイントだ.これまでは女性に関わるデリケートな問題として男性が議論に加わりにくかったと思うが,男性数が圧倒的に多い立法府で議論されないまま放置され,法律や施策の形に反映できなかったことが,今日の少子化の危機的状況につながっている.

特別寄稿

米国医療制度の概況―医療制度分析の視点から

著者: 江副聡

ページ範囲:P.763 - P.766

 わが国において医療制度改革への関心が高まるにつれ,米国の医療制度が引き合いに出される機会が増えている.ただ,米国の医療制度については,先進医療技術や医療職の教育システムなどの光の面と,無保険者に代表される影の面が混在し,それらが別個に議論される傾向があることから,文脈によって得られる印象が異なり,その全体像の理解が困難となっている.

 筆者は2005~2007年にかけて,米国ハーバード大学において医療政策に関する一連の講座を受講した注1).本稿ではそこで用いられていた分析枠組みの一部を用いて,米国の医療制度の成り立ちを概観することで,その全体像の理解への手がかりの提供を試みたい.

特別記事 検証「健康格差社会」―介護予防に向けた社会疫学の可能性②

AGESプロジェクト報告「介護予防に向けた社会疫学的大規模調査」―社会疫学の視点から

著者: 近藤克則 ,   吉井清子 ,   松田亮三 ,   末盛慶 ,   市田行信

ページ範囲:P.767 - P.772

 日本福祉大学21世紀COEプログラム国際シンポジウム“検証「健康格差社会」―介護予防に向けた社会疫学の可能性”が今年3月18日に開催された.

 本号では,前号のシンポジウムの第1部,Kawachi教授(ハーバード大学公衆衛生大学院)による基調講演「介護予防の戦略―社会疫学の視点から」(71巻8号)に引き続いて,シンポジウムの第2部,AGES(Aichi Gerontological Evaluation Study:愛知老年学的評価研究)プロジェクトの報告を行う.

連載 PHNに会いたい・1【新連載】

連載のはじめに―「きみはいまもPHNをやっていますか」全国行脚

著者: 荘田智彦

ページ範囲:P.790 - P.790

 今,全国の行政保健師の底流に大きな動揺と不安が広がっています.

 昨秋,大型合併の進む新潟県J地区の保健師から,研修会の講師依頼の文書が届きました.

―神奈川県鎌倉市―鎌倉方式(民間委託)と直営保健師の役割

著者: 荘田智彦 ,   石黒知美

ページ範囲:P.791 - P.795

 鎌倉市の話を聞くまでは,私は行政から民間への業務委託,特に住民の生命や健康に直接関わりのある,公衆衛生や保健事業の業務委託には懐疑的でした.それは,ともすると事業効率や経済性を優先させるアウトソーシングが,行政の公的責任の履行義務をおろそかにしないかと懸念したからです.ところが鎌倉市では,その民間委託をうまく活用し,なおかつ公的責任をおろそかにしない,保健事業でも「定量,定型化した事業は民間に業務委託するが,そこで生まれる余裕分を保健活動としてこれまで目の届かなかった市民(生活)サポートに広げていく」という特段の配慮がされているというのです.公的業務の代行を委託する側と受ける側と住民の連携がうまく図れ,全体として市民生活の安全安心,健康生活に厚みが増していると住民が感じるなら,それは評価しなければなりません.

 いま鎌倉では他に先がけ,長年の固定化した保健部門の考え方そのものを大改造しようとしています.「このままではいけない」と悩んでいる保健師たちに喝を入れ,逃げようのない意識変革を迫っているのは,時宜を得て配属されてきた事務系の上司たちの熱意であり,「市民のため」の保健活動(事業)がどうあればいいか,連日のように繰り広げられる事務方と専門職の熾烈な意見交換を経て生まれてきた「鎌倉方式」.なぜ連載第1回のPHN(パブリックヘルス・ナース)モデルを業務委託の進む鎌倉市に求めたか,そのわけを報告したいと思います.

楽しく性を語ろう―性の健康学・1【新連載】

イントロダクション

著者: 中村美亜

ページ範囲:P.796 - P.797

 「性を楽しく語れずして,避妊や感染症の予防,性的暴力の撲滅や性的多様性の受け入れはあり得ない!!」――私は今年度から某大学で「性の健康学」を担当することになったが,これはこの講義のモットーである.

 何かを教えるために,それについて楽しく語れる環境作りをするのは当然のことだ.例えば英語教師だったら,学生に英語に対するポジティブなイメージを与え,学習のモチベーションを高めようと努力するだろう.「英語を口にしてはいけないけど,将来役に立つから,単語を覚えるように.また文法もしっかり理解するように」などとは決して言わない.こういう教え方がいかにナンセンスであるかは誰にでも容易に想像がつく.ところが,性となると,どうも話が違うようだ.

いのちのプリズム・6

遥かなるガンガー

著者: 宮崎雅子

ページ範囲:P.723 - P.723

 インドの首都デリーを北上し,ガンジス河の上流へと向かった.行けども行けども街道沿いにはマーケットが並び,人が溢れている.

 人と車の喧噪がとぎれ,山あいの小さな町リシュケシに着いた.ここはヒンドゥー教の聖地で,寺院やガートと呼ばれる沐浴場があり,インドはもとより,世界中からヨーガの修行や巡礼に多くの人が訪れる土地である.

Health for All―尾身茂WHOをゆく・33

日本の医療を考える・4

著者: 尾身茂

ページ範囲:P.726 - P.727

 日本の医療について,これまで3回にわたり,①医師への過剰な負担とburn outの問題,②医療の量的な課題(医師の地理的偏在・診療科的偏在),そして③医療の質・安全面的な課題について述べてきた.もう1つ日本の医療が抱える重要な問題として「医療費に関する課題」がある.

 日本は医療分野では,国民皆保険制度により,誰もが平等に医療にアクセスできる制度を構築してきた.これにより,国民の健康水準は著しく改善し,このことが日本の経済発展に大きな貢献をもしてきたと言っても決して過言ではない.

感染症実地疫学・21

サーベイランス① 患者サーベイランス

著者: 多田有希

ページ範囲:P.773 - P.777

 本号から3回連続で,感染症サーベイランスに関する内容となる.わが国における感染症サーベイランスとしては,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下,感染症法)に基づいて行われている感染症発生動向調査がある.感染症はその病原体が検出されて初めて,確定診断されるものであることから,感染症発生動向調査の構成要素としては「患者サーベイランス」と「病原体サーベイランス」の2つがある.今回は「患者サーベイランス」について,その経緯と現状を述べたいと思う.

レセプト情報を活かす・6

国保ヘルスアップ事業とレセプト情報・2―甲州市からの経過報告

著者: 岡本悦司

ページ範囲:P.778 - P.783

国保ヘルスアップ事業とレセプト活用

 国保ヘルスアップ事業は2002年度より33市町村でモデル事業として開始され,専門家からなる評価者を置いて医学的ならびに経済的な評価が行われた.3年間の事業期間を終了した市町村からはその成果が学術雑誌等に公表されるようになってきた(北海道上富良野町1),石川県小松市2),茨城県筑西市3),神奈川県藤沢市4),福岡県宇美町5)).そうして得られたエビデンスは個別健康支援プログラム実施マニュアル(2006年3月Ver.2)や,2008年度からの標準的健康診査プログラム(2007年3月確定版)の作成に役立てられた.

 本モデル事業の特色は,全国33市町村にわたってほぼ一斉に,介入群だけでなく対照群も置き専門の評価者も置いて評価を行う,という国際的にも例の少ない大規模プロジェクトであったことに加え,対象者を原則として国保被保険者に限ることにより,レセプトとの突合を可能し,医学的効果だけでなく医療費への効果も評価する,という点にあった.

保健予防事業のアウトソーシング最前線・7

特定健診・保健指導の義務化と民間事業者の活用

著者: 山本英紀

ページ範囲:P.784 - P.788

生活習慣病の現状と医療制度改革

 日本人の生活習慣の変化や高齢者の増加等により,近年,糖尿病等の生活習慣病の有病者・予備群が増加してきています.例えば,糖尿病の有病者は約740万人,予備群は約880万人であり,5年間で約1.2倍の増加を示しているとともに,脳卒中による死亡者数は年間約13万人,心筋梗塞による死亡者数は年間約5万人にも上ると推計されています.これらの生活習慣病の増加や高齢者の増加に伴い,近年,国民医療費が増えてきていることが問題となっており,脳卒中,心筋梗塞の発症数や,糖尿病による人工透析の導入数の増加は,医療費の増加に大きく寄与していると考えられています.

 国民一人ひとりが,バランスの取れた食生活,適度な運動習慣を身につけることにより,生活習慣病は予防可能であることから,国民皆保険制度を存続可能なものとするために行われた医療制度改革において,生活習慣病対策の推進が大きな柱の1つとされました.具体的な対策としては,高齢者の医療の確保に関する法律に基づき,平成20年4月から,医療保険者に,40~74歳の被保険者に対する特定健診・保健指導が義務づけられることとなりました.医療保険者自身が,特定健診・保健指導を実施することは,困難な場合が多いことから,その実施を外部機関に委託することが考えられています.

衛生行政キーワード・35

がん対策推進基本計画の策定

著者: 木村慎吾

ページ範囲:P.798 - P.800

 がんは,男性の2人に1人,女性の3人に1人が罹患する疾病であり,今や「国民病」と言っても過言ではない状況にある.また,がん医療に関する情報は入手しやすくなっており,国民のがん医療に対する期待や希望が高まっているが,がん医療の水準には地域間格差・施設間格差が見られることが明らかになりつつあり,患者はがん医療の向上を強く求め,患者会等による運動へと発展していったところである.このような状況の中で,昨年,議員立法により「がん対策基本法」が成立したところであり,本年6月,同法に基づく「がん対策推進基本計画」(以下「基本計画」と言う)が閣議決定された.

 本稿では,基本計画の概略とがん対策の今後の動向を紹介させて頂くこととする.

活動レポート

自己申告におけるウエスト周囲径の有効性―減量チャレンジラリー参加者の場合

著者: 久保田晃生 ,   永田順子 ,   杉山眞澄 ,   藤田信

ページ範囲:P.801 - P.804

緒言

 肥満は,生活習慣病を発症させる危険因子の1つとして知られている.しかし,2004年の厚生労働省における国民健康・栄養調査1)の結果を見ると,中高年では肥満(BMI25以上)に該当する者の割合が高く,特に男性では40歳代(32.8%)と50歳代(30.8%)で30%を超えていた.このような背景から,日本内科学会を中心とした関係8学会は,肥満による生活習慣病の発症や重篤化を防ぐため,2005年にメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の定義と診断基準を示した2)

 メタボリックシンドロームの診断基準の中には,ウエスト周囲径が必須項目としてあり,男性85cm以上,女性90cm以上が基準値とされている.ウエスト周囲径は,メジャー等があれば,各自で比較的簡便に測定することが可能であることから,生活習慣病を予防するための健康づくりを実践する動機付けとしても活用できるのではないかと考えられる.

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あとがき フリーアクセス

著者: 品川靖子

ページ範囲:P.806 - P.806

 娘が保育園に通っていた頃,お迎えはいつも閉園ぎりぎりで,帰ってからご飯を食べさせお風呂に入れて寝かしつけるだけで精一杯の毎日でした.

 家族の協力で何とか回っていた我が家とは対照的に,周りでは共働き家庭でも家事や子育てのほとんどを1人でこなしているママが多いのに驚きました.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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