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視点
少子化対策のビジョン
著者: 野田聖子1
所属機関: 1衆議院
ページ範囲:P.724 - P.725
文献購入ページに移動昨今,少子化がようやく,国家存亡にもつながりかねない深刻な問題であるとの認知が広まってきた.にもかかわらず,その効果的な対策について議論はなかなか深まらない.それは,少子化対策を福祉の範疇で捉えるからだ.母や子に対し福祉的措置を施せば少子化が解消するとの矮小化された視点が,少子化問題の本質を見えなくしている.
出産は女性の個人的問題で,出生数が落ちたのは女性の社会参加意識や学歴が高くなったから,との意見がある.永田町でもそうした考え方は根強い.しかし,私は,少子化は女性だけの問題,責任では全くなく,福祉の問題でもない,国の土台そのものの話だと申し上げたい.少子化が進み人口が減少すれば,国の土台は小さくなる.高齢化とあいまって,世代人口間比率のバランスが歪み,社会制度の担い手不足,経済活動の担い手不足という,国家にとって深刻な問題が引き起こされる.そういう脆弱な土台の上に日本という家をどう建てるのか,というのが,少子化問題の最大のポイントだ.これまでは女性に関わるデリケートな問題として男性が議論に加わりにくかったと思うが,男性数が圧倒的に多い立法府で議論されないまま放置され,法律や施策の形に反映できなかったことが,今日の少子化の危機的状況につながっている.
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