文献詳細
文献概要
連載 PHNに会いたい・5
新潟県 2つの大震災と合併の余震が続く中で(上)―中越沖地震の保健師活動に学ぶ
著者: 荘田智彦 山田春美1 青木智子2 井倉久美子3 原美枝子4
所属機関: 1長岡市小国支所保健福祉課 2新潟県柏崎保健所地域保健課 3柏崎市元気館介護予防係 4柿崎総合事務所福祉グループ
ページ範囲:P.61 - P.67
文献購入ページに移動さて,今月号の案内人をお願いした山田春美さん(52)は,3年前の中越地震ではもっとも被害の大きかった地域の1つ,旧刈羽郡小国町(現長岡市小国)で活躍した保健師です.翌年,長岡市との大合併も経験していますし,今回の中越沖地震でも同町は柏崎市隣接地として再び大きな被害を受けてしまいました.また,全国の自治体でも珍しい原発立地の隣接自治体として旧小国町は10年も前から,「いざというとき」に備え独自で放射能の予防薬ヨウ素剤を全戸配付し常備している町でした.私は10年前にこの問題で渦中の牧野功平(元)町長にインタビューをした経緯があり,山田保健師とはそのときに出会いました.彼女は若い頃,仕事に行き詰まり参加した研修会で,保健(婦)師がなぜ行政にいるのかを問われ,「行政における保健婦の配置は地方自治法に法的な根拠はなく,憲法25条があるからだ」と聞いたことを愚直に守ってきた「普通の保健師」だと言います.「公務員であり保健師である」ことの意味を常に自らに課してきた保健師だということも,私が願うPHNの具体的な「コア・モデル」の1人という根拠になっています(詳しくは後述).
掲載誌情報