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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生72巻11号

2008年11月発行

文献概要

特集 日本の食を守れるか?

わが国の農業政策の推移と農村社会の変貌

著者: 高鳥毛敏雄1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科

ページ範囲:P.879 - P.882

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変貌する農村社会と公衆衛生活動

 わが国はもともと農業国であり,地域社会の多くは農村であり,人々が相互に助け合い,自給自足の生活をしていた.明治時代となり国の行政制度を整えるために地域の集落の合併が積極的に進められた.

 農村社会の解体に大きな影響を与えたのは農地改革であったと思われる.土地の所有形態は変わり小規模自作農家が大幅に増え,地域社会を取り仕切っていた大地主がいなくなり,地域を自己管理する力が弱まり,官依存の状況に転換していくことになった.その後の国の経済・農業政策により農村から若年者は流出し,衰退に追い打ちをかけられた.農村経済は国からの様々な交付金や補助金に依存する構造となった.農村社会の衰退は,わが国の公衆衛生活動の基盤である地域の自助,互助,公助の力,さらに地域の自律性を失わせるものとなっている.

参考文献

1) 暉峻衆三(編):日本の農業150年.有斐閣,2003
2) 日本農業研究所(編纂):農林水産省百年史.「農林水産省百年史」刊行会,1981
3) 東京大学社会科学研究所(編):戦後改革6農地改革.東京大学出版会,1974
4) 高鳥毛敏雄:1971~1976調査報告書.高知県高岡郡仁淀村別枝地区.大阪大学農山村医療研究会,1978
5) 考藤達哉:調査活動結果報告書.高知県香美郡物部村久保地区1978~1984.大阪大学農山村医療研究会,1985
6) 柳田村史編纂委員会:柳田村史(石川県),1975

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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