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連載 PHNに会いたい・14
―岩手県九戸郡―“ものいわぬ農民”の故郷を訪ねて
著者: 荘田智彦 畠山貞子1 畠山とし子2 横島孝雄3 佐藤佳子4
所属機関: 1軽米町健康ふれあいセンター 2田野畑保健医療センター 3岩手県立軽米病院 4岩手県立軽米高校
ページ範囲:P.907 - P.914
文献購入ページに移動宮沢賢治(1896-1933)のいた「雨ニモ負ケズ」の時代,「ものいわぬ」は昭和30年代の,「北上山地」は40年代後半から,“出稼ぎ”による家族崩壊が問題化した時期の,この3冊の語る,同じ故郷の貧しい岩手の農村の風景や農民たちは重なってひとつながりにあるはずです.親や祖父母,またその上の世代の背負った環境や苦難は,現在の若い世代や子育てに影を落としたりはしていないかが心配でもありました.研修会の楽しみは全県の町村から集まる保健師から,高齢,母子など各地の保健活動の報告を聞けることです.しかし事例検討や事業報告もほとんど全国の保健師活動と変わらず,作成中の「保健計画」はどれも金太郎飴,そのことに特別がっかりしたわけではないのですが,ほんの20年くらい前まで岩手の地域保健・母子保健の課題だった「僻地・貧困・多病・多死・無知・非衛生」と闘ってきた,先輩保健師や助産師たちの歩みがあるだけに,そうした影も暗さもない報告にホッとすると同時に,本当に「課題」は卒業できたのか,ちゃんと保健師たちはそのことを踏まえているのか心配にもなりました.
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