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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生72巻12号

2008年12月発行

文献概要

特集 地球温暖化対策―京都の約束

バイオ燃料―地球温暖化対策としての有効性への疑問と,食糧等との競合問題

著者: 佐久間智子1

所属機関: 1NPO法人「環境・持続社会」研究センター

ページ範囲:P.961 - P.966

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 植物性のデンプンや糖を蒸留したエタノール(アルコール)や,植物油や獣脂から粘性を取り除いたディーゼル(油)などのバイオ燃料が,ガソリンや軽油を代替する輸送燃料として世界各国で大量生産されるようになった(図1).

 2003年以降の原油高によって,各国で原油依存からの脱却が切実な課題となり,同時に,コストの高いバイオ燃料にも商業化の道が開けたのである.CO2などの温室効果ガス(以下GHG)を削減するためにも,「カーボン・ニュートラル1)」な生物資源エネルギーで化石燃料を代替することが求められていることも背景となっている.

参考文献

濃度を変化させない,という概念
2) OECD-FAO:Agricultural Outlook 2008-2017. OECD-FAO, 2008
3) 批判を受けて欧州議会産業・エネルギー委員会では,輸送燃料の10%を2020年までに再生可能エネルギーで代替させるというEU目標を修正し,4%までを食糧と競合しない廃材などの「第二世代バイオ燃料」で賄うという修正案が可決されている.
4) OECD:Biofuel policies in OECD countries costly and ineffective, says report. 16/07/2008
5) Doornbosch Richard, et al:Biofuels;Is The Cure Worse Than The Disease? OECD Round Table on Sustainable Development. Sep.2007
6) Ibid.
7) Global Subsidies Initiatives (GSI):Biofuels―at what cost? Government support for ethanol and biodiesel in European Union. Oct.2007
8) Stefan Steinberg:Financial speculators reap profits from global hunger. Global Research, April 24, 2008
9) 特集「牛乳が飲めなくなる!?」.生活と自治,2008年9月号
10) 米国のトウモロコシ由来エタノールのGHG削減効果をマイナスとする試算も複数存在する.
11) Zar Rainer, et al:Life Cycle Assessment of Energy Products; Environmental Assessment of Biofuels―Executive Summery. EMPA, May 2007
12) Intergovernmental Panel on Climate Change Working Group I 2007:The Physical Science Basis; Summary for Policymakers, IPCC Secretariat, 2007
13) Fargione Joseph, et al:Land Clearing and the Biofuel Carbon Debt. Sience, Feb. 2008
14) Gibbs Holly K, et al:Carbon payback times for crop-based biofuel expansion in the tropics; The effects of changing yield and technology. Environmental Research Letters 3(2008)
15) ブラジルでは同41セント程度というレベルも実現されているという.
16) United Nations Development Programme:Human Development Report 2007/2008, Fighting Climate Change:Human Solidarity in a Divided World

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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