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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生72巻2号

2008年02月発行

文献概要

連載 レセプト情報を活かす・11

レセプト情報のデータベース化に向けて

著者: 小林廉毅1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学

ページ範囲:P.143 - P.146

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はじめに

 連載も残すところあと1回となり,筆者の寄稿もこれが最後となる.そこで今回はレセプト情報をデータベース化する意義と,その際の課題について論じてみたい.

 これまでの繰り返しになるが,レセプト(診療報酬請求明細書)とは,医療機関や保険調剤薬局が公的医療保険から支払を受けるために作成・提出する詳細な請求書であり,そこには患者の基本情報(氏名,生年月日,加入する医療保険の情報,診療を受ける医療機関の情報など)や傷病名,診療行為の種類・回数,診療報酬請求額などが原則1医療施設ごと,1か月単位で記載されている.国民皆保険のわが国では,ほとんどすべての診療情報がこのレセプトに集約されるため,レセプト情報を用いた調査分析が広範に進展すれば,様々な公衆衛生や医療経済に関わる課題について解決の糸口が得られ,科学的根拠に基づく医療政策や保険運営への活用が期待できる.一方,データベース化の最大の障壁は,現状ではレセプトのほとんどが紙媒体であり,そのままでは調査分析に使えないことと,記載傷病名の多さや記載法が標準化されていない点などである.

 しかし,そのような障壁を乗り越えて,レセプト・データベース化を進めるべきと筆者は考える.

参考文献

1) 総務省政策統括官ホームページ:統計法(平成19年法律第53号)(2007年11月アクセス) http://www.stat.go.jp/index/seido/1-1n.htm
2) 岡本悦司:海外のレセプト情報活用の例―韓国.公衆衛生71(12):1015-1020,2007
3) Virnig BA, McBean MA:Administrative data for public health surveillance and planning. Annual Review of Public Health 22:213-230, 2001
4) The Research Data Assistance Center(ResDAC)ホームページ(2007年11月アクセス) http://www.resdac.umn.edu/
5) 谷原真一:レセプトに記載された傷病名の妥当性について.公衆衛生71(10):859-862,2007
6) 木村真也:レセプトにおける匿名化名寄せ技術と傷病名辞書.公衆衛生71(11):939-942,2007
7) 厚生労働省ホームページ:医療サービスの質の向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会(2007年11月アクセス) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/07/s0725-8.html
8) Kobayashi Y, Yano E:Structure, process, effectiveness and efficiency of the check and review system in Japan's health insurance. Health Policy 19:229-244, 1991
9) 岡本悦司:レセプトの法的性質と研究利用の可能性.日本公衛誌42:999-1006,1995
10) 厚生労働省ホームページ:厚生労働分野における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン等(2007年11月アクセス) http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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