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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生72巻5号

2008年05月発行

文献概要

特集 うつの時代―うつ病を改めて理解する

子どものうつ病

著者: 傳田健三1

所属機関: 1北海道大学大学院保健科学研究院生活機能学分野

ページ範囲:P.355 - P.358

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子どものうつ病は見逃されてきた

 近年,子どものうつ病が一般に認識されているよりもずっと多く存在するということが明らかになってきた.しかも,従来考えられてきたほど楽観はできず,適切な治療が行われなければ,青年あるいは大人になって再発したり,他の様々な障害を合併したり,対人関係や社会生活における障害が持ち越されてしまう場合も少なくない.今や子どものうつ病を正確に診断し,適切な治療と予防を行うことが急務となっている1,2)

 ところがわが国では,いまだに児童精神科医の間でさえ,子どものうつ病に対する認識は乏しいと言わざるを得ない.これまで,わが国では子どものうつ病という現象は見逃されてきたと言うことができるだろう.子どもの不適応を何でも精神障害と関連づけて考えることには慎重でなければならないが,近年見られる不登校やいじめの問題において,不適応を起こして落ち込んだり,引きこもったり,自殺を試みたりする子どもたちを,今一度,うつ病という視点から検討する必要もあるのではないだろうか1,2)

参考文献

1) 傳田健三:子どものうつ病―見逃されてきた重大な疾患.金剛出版,2002
2) 傳田健三:子どものうつ,こころの叫び.講談社,2004
3) American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition(DSM-Ⅳ). Washington, DC, American Psychiatric Association, 1994
4) 傳田健三:SSRIの児童・青年期患者への投与と安全性.SSRIのすべて(小山司編),先端医学社,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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