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特集 若者を性感染症から守る
若い女性における性感染症の大流行―クラミジア感染症を中心に
著者: 熊本悦明12 南邦宏3
所属機関: 1札幌医科大学 2日本性感染症学会 3札幌東豊病院
ページ範囲:P.436 - P.443
文献購入ページに移動“無症候の性感染症”ほど,公衆医学上問題の多い疾患はないのではないか? 現在わが国の10代の若者に環境汚染のように広がっている疾患は,この“無症候の性感染症”だと言っていい.かつては花柳病そして性病と言い,“遊ぶ男の病”とされていたものが,若者の性の自由化を背景に,性感染症として若い女性を中心に大流行している.現在高齢者の生活習慣病や,メタボリックシンドロームには医学界で大きく注目しているのに,次代を担う若者に密かに大流行している性感染症に対しては,公衆衛生行政があまり積極的な関心を示していないと,筆者は危機感を覚えている.
数年前から“若い女性が危ない,クラミジア感染症の大流行”という危機感を持つ識者方の強力なしっかりした疫学データに基づいた啓蒙キャンペーンにより,後述するが最近多少その効果が出てきて,10代の若い女性たちのSTD大流行の勢いにやや歯止めがかかりつつある.しかしまだまだ大流行は続き,迫りつつあるHIV/エイズの流行受け入れへの環境準備が徐々に進んでいることを危惧している.しかしこの問題は,何故か社会問題としてほとんど表に出ない.
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