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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生72巻7号

2008年07月発行

文献概要

特集 たばこ研究

たばこ対策の推進に向けた保健医療専門学会の取り組み

著者: 飯田真美12 藤原久義34

所属機関: 1JA岐阜厚生連中濃厚生病院総合内科 2岐阜大学大学院医学研究科循環・呼吸病態学 3兵庫県立尼崎病院 4岐阜大学

ページ範囲:P.560 - P.564

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 米国ではすでに1961年に米国がん協会,米国心臓協会,全米結核協会,米国公衆衛生協会の会長が共同でKennedy大統領に喫煙の健康被害に対する対策に関し要望書を提出し,医療の専門家集団としての情報提供を行っていた.わが国においては個別の研究や取り組みはあるものの,学会として喫煙の問題に取り組み始めたのは1990年代後半になってからである.わが国で初めて保健医療専門学会として,喫煙による健康被害について社会に警鐘を鳴らし取り組む姿勢を宣言したのは,「喫煙による健康被害および疾病の悪化に関する十分な知見が蓄積されたことを踏まえ,日本呼吸器学会は医療従事者および患者はもとより,広く国民全員に禁煙を強く勧告する」という喫煙に関する勧告を1997年に発表した日本呼吸器学会であった.以後,日本小児科学会(1999年),日本肺癌学会(2000年),日本公衆衛生学会(2000年),日本学校保健学会(2001年),日本循環器学会(2002年),日本口腔衛生学会(2002年)と相次いでたばこ対策の強化を表明し,会員自らの禁煙の推進や医療機関の禁煙化,および禁煙教育の推進などに取り組み始めた.

 このような中,2005年の9学会合同禁煙ガイドライン1)策定は,横の繋がりの悪い医学会においても,全く異なる領域の9学会が合同で喫煙の問題に取り組むきっかけとなった.本稿では,この禁煙ガイドライン作成・公開に引き続き,学会合同でたばこ対策を推進している立場から,禁煙ガイドラインと,その後の学会合同でのたばこ対策の推進に向けた禁煙推進学術ネットワーク(http://www.tobacco-control-research-net.jp/)の活動について紹介したい.

参考文献

1) 禁煙ガイドライン.Circulation J 69(Suppl Ⅳ):1005-1103, 2005
2) 大和浩:受動喫煙対策にかかわる社会環境整備についての研究.厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)平成19年度研究報告書 http://tobacco.control.jp
3) 日本循環器学会,日本肺癌学会,日本癌学会:禁煙治療のための標準手順書  http://www.j-circ.or.jp/kinen/anti_smoke_std/  http://www.haigan.gr.jp/kinentejunsho-3.htm  http://www.jca.gr.jp/e19.html
4) 日本禁煙推進医師歯科医師連盟http://www.nosmoke-med.org/
5) 日本禁煙学会 http://www.nosmoke55.jp/
6) 日本禁煙科学会 http://www.jascs.jp/index.html
7) 要望「脱タバコ社会の実現に向けて」日本学術会議(2008.3.4) http://www.scj.go.jp/
8) 藤原久義,飯田真美:公共の場・職場の法的喫煙規制は心臓病を減少させる―わが国でも法的に全面的受動喫煙禁止地区を設定し,疾患発生が減少するかを調査する時期ではないか? 日本禁煙学会誌2(8):1-5,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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