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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生72巻8号

2008年08月発行

特集 地域における医師職のあり方

総合医

著者: 水野肇

ページ範囲:P.626 - P.629

文献概要

「医師」という職業

 医師という職業はギリシャ時代よりずっと以前から地球上に存在していたと思う.多少の想像を混じえて言えば,シャーマンのような,一種の神がかりとみられる人たちが,今でいう医師の代役をしていたとも考えられる.つまり,神との連絡がとれると称する人間が,今でいう「医師」の代役を勤めていたとも言える.そして時代を経て,ずっと医師は一人で全患者を受け持つというスタイルは,世界中,どこの国でも普通に行われてきた.そして,医療の中核はこのような形のGPとか家庭医といわれる者で,ずっと現代まで続いている.

 中世になって十字軍が結成されて,アラビアまで遠征されるようになった.その際,多数の将兵は途中やイエルサレムに近い処で死んだ.これを救うためにつくられた「ホスピス」が発展して「病院」になった.病院には病理解剖医が居て,複数の医師が勤務するようになり,それまでの自宅による開業医が,一定の場所(病院)で複数で医院を運営するようになり,やがて医科大学が出現し,それが何百年かを経て,現在のような臓器別医学の全盛時代を迎えるようになった.しかし,臓器別医学がメインになり,患者がいきなり,大病院や大学病院に行くのが通例になっているという国は,先進国の中では日本以外にはない.多くの先進国では,国民はまず,GPや家庭医に診てもらい,そこで治る場合(約90%あると言われている)はそこで治療を受け,もし,高度の技術や機器を必要とする厄介な病気の際には,大病院や大学病院に紹介してもらって,そちらで診断,治療を受けるようになっている国が多く,これは制度として押しつけられたものではなく,自然にそのようになり,国民の中で,それに疑問を持つ人は少ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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