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連載 衛生行政キーワード・47
新型インフルエンザ対策について
著者: 森桂1
所属機関: 1厚生労働省健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室
ページ範囲:P.750 - P.752
文献購入ページに移動2003年11月以降,鳥インフルエンザウイルス(H5N1)のヒトへの感染事例や死亡例が増加し,2008年6月19日現在,世界における感染者は385人,そのうち死亡者は243人に達している.これまでヒトには感染しなかった鳥インフルエンザウイルスが,変異によってヒトへの感染を起こしており,さらにヒトからヒトへと感染するようになる新型インフルエンザウイルスの出現は時間の問題であるとされ,予断を許さない状況が続いている.
新型インフルエンザは10年から40年の周期で発生すると言われており,20世紀には1918年のスペインインフルエンザ(推計死亡者4,000万人),1957年のアジアインフルエンザ(推計死亡者200万人以上),1968年の香港インフルエンザ(推計死亡者100万人以上)が記録されている.この感染症に対しては,ほとんどの人が免疫を持っていないため,世界的な大流行(パンデミック)が引き起こされ,大きな健康被害と社会的影響が懸念されている.さらに人口の増加と都市への人口集中が進み,高速大量交通機関が発達した現代においては,短期間で地球全体にまん延するおそれがあり,医療・保健分野にとどまらない危機管理課題として,対策の体制整備が急がれている.
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